早産などで小さく生まれた赤ちゃんやその家族を支援するため、東京・中央区に日本最大級の「母乳バンク」が間もなく誕生します。
日本で2カ所目の母乳バンクとして設立されるのは「日本財団母乳バンク」です。母乳バンクとは、余った母乳を冷凍した状態で寄付してもらい、「ドナーミルク」として保存するための施設です。日本橋に設置されるこの母乳バンクには国内最大級のクリーンルームが作られ、ドナーミルクは低温殺菌されて冷凍保管されるということです。
現在、国内では産後に母乳が出ないケースや抗がん剤の治療中などで、赤ちゃんに母乳をあげられないケースなどがあることから、年間およそ5000人の赤ちゃんがドナーミルクを必要としているといいます。日本財団母乳バンクによりますと、母乳には1500グラム未満の小さく生まれた赤ちゃんの腸を早く成熟させる物質が含まれているといわれています。日本財団母乳バンクの水野克巳理事長は「母乳は消化吸収がいい。未熟な腸粘膜を早く成熟させてくれる。一方、人工乳には牛の乳のタンパクが入ってくるが、特に未熟な赤ちゃんの腸管にはマイナスになることも多い」と話し、「あなたの母乳が小さな赤ちゃんを救います」と協力を呼び掛けています。また、この日の会見ではドナーミルクの提供を受けた女性の「ドナーミルクを使わせていただいたおかげで子どもが大きな病気にかかることもなく順調に育ち、退院することができた」と感謝の言葉が紹介されました。
この施設で保管できるドナーミルクは年間5300リットルで、提供できる赤ちゃんの数は4100人分を想定しているということです。施設では現在ドナーを募集中で、4月1日にオープンします。
日本財団母乳バンクはドナーを5年後には2900人まで増やすことを目指していますが、現在は10人ほどだということです。今後のポイントは「ドナーを増やすこと」になりそうです。まずは母乳バンクを通して「助かる命がある」ことを知ってもらい、より多くのドナーが増えることが期待されます。
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