TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。3月4日(金)の放送では、特別企画「モニフラZ議会」を開催。Z世代の論客が“同性パートナーシップ制度”について議論しました。

◆東京都で新たなパートナーシップ制度が導入
小池知事は、同性カップルなどを公的に認める「パートナーシップ制度」を重要政策として掲げています。このたび、その柱となる制度、東京都がこの秋から導入する「東京都パートナーシップ宣誓制度」の素案が公表されました。
「東京都パートナーシップ宣誓制度」の対象となるのは、2人とも成人であること。そして、都内在住者だけでなく都内に在勤・在学の方も含まれます。本人確認書類などの提出から証明書の発行まで全ての手続きはオンラインで可能で、これは全国で初。なお、通称名や子どもの名前なども記入できますが、法的効力はなく、あくまで都民への啓発に力を入れる目的ということです。
この制度によって、公営住宅への入居や病院で手術を受ける際の同意や面会が可能となることなどが想定されていますが、一方で異性同士の結婚では可能となる、所得税の配偶者控除や医療保険の被扶養者への適用、さらには相続や遺族年金については素案に記載されていません。
当事者でもある臨床心理士のみたらし加奈さんは、「流れとしては、すごくいい流れ」と評価しつつ、まだまだ懸念すべき点も多いよう。
その1つとして、現在のパートナーシップ条例は「世田谷区型」と「渋谷区型」があり、前者は要綱に基づいたもので法的拘束力がなく、一方で後者は条例ではあるものの登録時には公正証書が二部必要で、合計6万円程度の費用が必須。通常の婚姻であれば無料とあって、そうした部分がどうなるのか案じます。
かたや株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは、異性間の婚姻と同性パートナーシップ制度で認められていることに大きな隔たりがあることに疑問を呈し、「なぜそんなに差があるのか。そもそも同じでいい」と主張。
みたらしさんによると、制度化されていないことで不便なことはたくさんあるといい、なかでも大変だったと語ったのは「物件探し」。不動産屋に同性カップルであることを明かすかどうかに始まり、2人で入居する際、女性同士のカップルの場合は、友達同士よりも経済的な能力が低いと見られやすく、入居審査に通らないこともあったと明かします。
そして、逆に男性同士の場合は反社会的だと思われたり、なぜ男性2人で暮らすのかと偏見・差別の目で見られたり、ローンを組むにあたっても異性同士のカップルが優先されてしまうことがあるそう。そうしたなかで、今回の「東京都パートナーシップ宣誓制度」について、「啓発を目的にしていると言い切ってくれたのは安心」とみたらしさん。
◆地域差に子ども…同性パートナーシップを巡る今後の課題
こうした同性パートナーシップ制度は全国的に広がりを見せているのかといえば、状況としてはまだまだ。現在、全域で導入されている都道府県は、大阪府・群馬県・茨城県・青森県・三重県・佐賀県の6府県で、市区町村単位では155の自治体に留まっています。
作家で起業家の小幡和輝さんは、出身地である和歌山県が全く導入されていないことに「理解ができない」と落胆。「ゼロから考えるわけでなく、すでに多くの地域が導入しているなかで、それをスライドすればいいだけなのに、なぜ導入に時間がかかっているのか」と嘆きます。
古井さんは、地元・富山県が全く導入されていないことについて触れ「富山で過ごしていたときと東京で過ごしているときでは圧倒的に“LGBTQ”に対する空気感も価値観も、時代の流れもあると思うが全然違う。なんなら富山県には(LGBTQが)いないぐらいのニュアンスの人が多い」と実感を語り、「知らないだけで富山にも(当事者はいて)“生きづらさ”を感じている人はたくさんいる。同じ日本で(ここまで差があるのは)理解できない」と憤りを露わに。
同性パートナーシップ制度が全国に広がりつつあるなか、新たな課題が生まれています。それは、東京都パートナーシップ宣誓制度にしても宣誓した自治体のみ有効で、引っ越しなどで住居が変わると再申請が必要なこと。
これについて東京都は現在、都内の自治体との連携を目指していくとしています。さらには、子育てをしているカップルなどが子どもも家族として公認する「ファミリーシップ制度」があり、すでに足立区などで導入されており、これを全域で導入するかどうかも課題になっています。
また、当事者が子どもの場合、周りに打ち明けることも誰にも相談できないことが多いため、声が上げられやすい環境づくり・仕組みが必要となりますが、みたらしさん曰く、まだまだそれは足りていないそう。「臨床心理士というところでいうと、LGBTQに対しての支援は、最近になって理論として生まれてきたようなところがあり、支援側もまだまだ知識が足りていない。そうしたところも含めてうまく啓発してもらえれば」と今後の広がりに期待します。
キャスターの田中陽南は、みたらしさんの話を聞き「まだまだ偏見に基づいたところが多いと思った。(同性パートナーシップ制度に関しては)都が全域で認め、そこからもっと国単位で広がっていけばいいと思う」と望んでいました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag