魚が野菜を育てる次世代の循環型農業「おさかな畑」 そのシステムとは

2022.03.10(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、人にも環境にもやさしい“次世代農業”をキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、人にも環境にもやさしい“次世代農業”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆魚が野菜を育てる「おさかな畑」、そのシステムとは?

今回、田中が向かったのは次世代農業の発信拠点として神奈川県・藤沢市に昨年オープンした「湘南アクポニ農場」。そこには、魚が野菜を育てる次世代の循環型農業「おさかな畑」が広がっています。

ハウス内で育てている野菜の下には、水槽が設置されています。

運営する株式会社アクポニの代表・濱田さんによると、魚のフンを含んだ水がポンプで野菜のベッドに給水され、微生物がフンに含まれるアンモニアを野菜の肥料へと分解。野菜が栄養となる成分を吸収した後は、きれいな水だけが水槽に流れる仕組みになっており、通常の土で育てる農業と比べると、「約80%節水できる」と話します。

これは従来の養殖と水耕栽培を組み合わせた「アクアポニックス」と呼ばれるシステムで、育てられる野菜は小松菜やほうれん草などの葉物が中心。その味は瑞々しくて美味しく、なおかつ普通の野菜に比べ日持ちもするそう。また、魚も基本的には淡水魚であればOKで、濱田さんのおさかな畑では、金魚や鯉などの観賞用の魚以外に、ティラピアと呼ばれる食用の淡水魚も養殖しています。

さらに、おさかな畑は節水や肥料代がかからないなど、コスト面の節約だけでなく、作業効率化にも効果があるとされており「作業が簡単なので農業をしたことがない方、異業種からの参入が多い」と濱田さん。

実際に栃木県で導入している人を取材すると、2年前に自宅の一角をおさかな畑に改装し、レタスやハーブ、スプラウトなどの葉物野菜を栽培。収穫した野菜は、道の駅や直売所などに出荷しており、1日の作業は魚へのエサやりと水質のチェックのみで、農機具を使わなくていいというメリットも。

収穫時でも1日1時間程度、収穫がない日は30分ぐらいで、とにかく作業が楽なことから、現在は障害者や高齢者の働く場所として活用されるなど、雇用促進にも期待されています。

◆おさかな畑が環境や地球、生態系について考えるきっかけに

おさかな畑の誕生は、魚屋の長男として生まれ、魚が大好きだった濱田さんが、海外で魚の養殖をしている日本人から、養殖時の飼育水を「畑に撒くと野菜が青々して美味しく育つ」と聞き、ベランダで自作したことがきっかけ。

そして、当時日本で全く知られていなかったアクアポニックスを浸透させるべく7年前に活動を開始。

濱田さんは「おさかな畑は、魚があり、植物があり、微生物がいる。生態系を感じることができるので、アクアポニックスを通して環境や地球について考えるいいきっかけになると思う」とその魅力を語ります。

なお、現在は学びの一環として幼稚園や保育園で作って欲しいという依頼も多いそうで、キャスターの堀潤は「すごい! 全く知らなかった」とアクアポニックスに興味を示します。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんも「面白いですね」と感心し、「これは都内でも導入しやすいと思う。野菜は輸送の際のCO2排出がかなり大きいので、地産地消という観点からもすごくいい」と絶賛。さらには「日本から海外に発信できるモデルにもなると思う」と期待しつつ、一方で「幾らぐらいでできるのか……」と運用コストを気にかけます。

現在、濱田さんは空いた土地に置くだけでアクアポニックスが始められるパッケージ「アクアポニハウス」を法人向けに作っており、そこで想定される収穫量は1ヵ月で野菜が100kgで魚は20kg。野菜は平地で栽培する量の約7倍。なお、サイズは面積30平方メートルで、約700万円で始めることができます。

一方、個人向けにも家でアクアポニックスができるキットが発売中。これは水槽の上でハーブなどを育てることができ、サイズは幅60㎝×奥行き30㎝×高さ50㎝で、価格は約3万4,760円。栽培を通して、環境の循環などについて考えることができるため、子どもにも最適だそうです。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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