先日行われた学生野球のシーズン締めくくりとなる「明治神宮大会・大学の部」の決勝はとても熱い戦いとなりました。11月23日に東京都が行ったパラリンピック競技の体験イベントの様子と併せて動画でご覧ください。

<慶応大学 東京六大学初の4冠なるか>
大学野球の頂点を決める明治神宮大会の決勝が11月25日に神宮球場で開催されました。東京六大学代表として決勝まで勝ち上がった慶応大学はすでに春・秋の六大学リーグと大学選手権で優勝しているため、この試合に勝てば六大学初の4冠という快挙となります。
中央学院との決勝戦は1回表からいきなり動きます。2番の萩尾匡也がバントの構えから一転して打った球はぐんぐん伸びてスタンドに入ります。これが歴史に残る壮絶な打ち合いの幕開けとなりました。その後、3点をリードした慶応は5回ウラにツーランホームランを浴び、1点差に詰め寄られます。その後もノーガードの打ち合いが続き、迎えた6回ウラ、ヒットと2つの四球で1アウト満塁のピンチとなった慶応に対し、中央学院の武田登生の痛烈な当たりが深々と左中間へ飛び、走者一掃のタイムリーツーベースとなります。結局、慶応はこの回打者一巡、10人の攻撃を許し、5対9と逆転されてしまいます。消えかかる4冠の希望に対し、それでも諦めない慶応は7回表、広瀬隆太が打った球は優勝への思いを乗せてバックスクリーンへと一直線に入り、この後も追加点を上げます。慶応は1点差まで迫った9回、1アウトで、2塁に同点の、そして1塁に逆転のランナーを置いてバッターボックスに立ったのは、第1打席ホームランの萩尾です。渾身(こんしん)のスイングをするもダブルプレーコースで、万事休すかと思われましたが、捨て身のヘッドスライディングで1塁に残ります。まだまだ終わらない「大学日本一を決める頂上決戦」は、2アウト1・3塁から運命の大飛球がライト方向へと飛ぶもののあとひと伸び足らず、8対9で試合終了となりました。4冠の夢がついえ、泣き崩れる慶応ナイン、そして優勝した中央学院も涙涙の幕切れとなりました。
3時間半を越える死闘を戦い抜いた東京六大学代表・慶応大学は、堂々の準優勝です。
<未来の日本代表も… パラスポーツ体験イベント>
江東区の東京スポーツ文化館で11月23日に開催されたのは、パラスポーツの競技体験会です。障害のある人たちに実際にパラリンピックなどの競技を体験してもらうことで、隠れた能力が覚醒する可能性を探ることが目的です。実際にこのイベントの参加がきっかけで、東京パラリンピック日本代表になった選手も4人います。東京都の担当者は「パラリンピックを目指す人を発掘しようと始めたイベント。競技の様子を見て、ぜひ気軽に参加してほしい」と話します。
参加者からは「ボートとスキーと柔道に参加した。普段生活していて触れることのない競技が多かったので、それを1日で3種類もできたのですごく良かった」「将来は卓球でパラリンピックに出たい」と、イベントを楽しむ声が聞かれました。また、視覚障害がある子どもを持つ父親からは「障害者が運動できる環境は限られている。こういう活動を利用させてもらい、子どもの成長の幅が大きくなるのを感じる。ぜひ皆さんもきっかけがあれば参加を検討してみたらいいと思う」と期待する声もありました。
家族やスタッフらは、未来のアスリートたちが自らの可能性を信じて懸命に頑張る姿を見守りました。そして今回参加した選手の中からまた、未来の日本代表が誕生するかもしれません。