緊急事態宣言が解除され久しぶりにイベントを開催したライブハウスでは大きな盛り上がりを見せた一方、店長は拭い切れない不安の思いを明かしました。
東京・江戸川区にあるライブハウス「オルフェウス」では、ステージでバンドが演奏していても歓声が上がることはありません。また、演奏が終わっても観客からの声援はなく聞こえてくるのは拍手だけです。それでも演奏したアーティストは「ずっと配信ライブなどお客さんのいないところでやってきたので、直接人がいて見てくれるだけでもすごく興奮した」と話しました。アーティストの思いは観客にも伝わっているようで、観客からは「やっぱり音の感じとか全然違う。配信で無料ライブを見ていたが、本物のライブだと音は全然違う。やっぱりライブがいいなと思う」「こういう状況で有観客ライブをやるのはなかなか難しい。主催者には感謝しかない」といった声も聞かれました。
2020年3月に渋谷区のライブハウスでクラスターが発生したことで、ライブハウスは1年半にわたって強い風当たりを受けてきました。そんな中、やっと開催できたライブに「オルフェウス」の根岸和貴店長は「ライブ再開に踏み切ったのは、宣言解除というところもすごく大きい」と話します。
10月1日におよそ半年ぶりに緊急事態宣言が全面解除されたことに伴い、イベントの開催ルールも変更されました。徹底した感染防止対策が行われた上で大声を出さない演目であれば、定員5000人以下の規模の会場では定員まで観客を入れることが可能になりました。今回のライブでもライブ前の検温やアルコール消毒の徹底といった新型コロナ対策がしっかりと行われました。さらに開演前に観客に向けて「叫びたい気持ちはぐっとこらえて、声援や歓声は控えてほしい。その代わり、拍手や隣の人とぶつからない程度に腕を振ったりすることで応援してほしい」と呼び掛けが行われました。またライブハウスといえば「全席立ち見」ですが、今回は椅子を入れてそれぞれが決められた範囲内で鑑賞しました。
宣言が解除され、徹底した対策の下で開催されたライブですが、根岸店長は「『感染防止徹底点検済証』を店に提示することでお酒の提供が可能になり、営業時間を午後9時まで延ばすことができる。しかしいくら感染対策を気を付けたとしても、うちからクラスターが出たら取り消しになってしまう。ライブ開催や営業判断は難しい。解禁されたからといって手放しで喜べるような状況ではない」と、いつ発生するか分からないクラスターへの不安を口にしました。
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