自動車盗難の新手口 「CANインベーダー」とは

2021.09.17(金)

10:00

 自動車盗難の手口が変化しています。「CAN(キャン)インベーダー」という新しい手口で10億円を超える被害が出ています。

 自動車盗難の手口が変化しています。「CAN(キャン)インベーダー」という新しい手口で10億円を超える被害が出ています。

 2021年8月、兵庫・埼玉・千葉の3県警が「CANインベーダー」による自動車窃盗グループを初めて摘発しました。東京都を含む17都府県で195台の車が盗まれ、余罪を含めて被害総額はおよそ10億3000万円にも上ります。犯行グループの1人は「これまでリレーアタック(という手口)などで盗んでいたが、CANインベーダーで簡単に盗めるレクサスを狙った」と供述しています。

 「CANインベーダー」の手口は、モバイルバッテリー型の特殊機器を車のバンパーを外して接続するだけです。現在の自動車はコンピューター制御されている精密機械ともいわれ、その頭脳が「CAN信号」です。このCAN信号の配線に不正接続することで、制御システムを操作して、パソコンを乗っ取るハッキングのように鍵を開けたりエンジンをかけたりできます。CAN信号に侵略するので「CANインベーダー」と名付けられています。

 一方、これまで自動車盗難の主流となっていた「リレーアタック」という手口は、スマートキーから出る微弱な電波を増幅し誤作動させて近くに停めてある車を盗むという方法のため、金属の缶にスマートキーを入れて電波を遮断することで盗難対策ができました。しかし「CANインベーダー」では鍵がなくても盗める上に、大本のコンピューターを乗っ取られてしまうので、センサーが異変を察知できません。このことから、今後被害が拡大していくと見られています。カー用品大手のオートバックスセブンの担当者は、ハンドルロックを使った物理的な対策を推奨しています。他にもシートベルトにつなぐタイプのワイヤーロックもあります。こうした物理的な対策は手軽に設置できることもあって、9月入ってから商品の売り上げが前年比40%アップと伸びています。

 現状「CANインベーダー」そのものを防ぐことは難しく物理的な対策も完璧ではありません。しかし、窃盗グループは少人数で「素早く」「目立たず」犯行を終えたいと考えています。そのため、目に見える形で物理的な対策をすることで窃盗グループに面倒くさいと思わせ、ターゲットから外れることで難を逃れる確率を上げることが大切です。

 

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