新型コロナウイルスの影響で若手の演奏家がコンサートなどに出演する機会が減っています。こうした中、クラシック音楽の動画作りを通して支援する取り組みが行われています。

子ども向けのクラシックコンサートなどを手掛けるソニー音楽財団が若手演奏家を支援しようと企画したもので、2020年に実施した際には550件の応募があり、そのうち23作品が採用され、1作品につき50万円が支払われたほかYouTubeで公開されました。財団の野口雅裕さんは「(新型コロナの影響で)若手のアーティストが大変な思いをしているのではないかというのと、私たちが子ども向けの活動を今までたくさんしていたため、子どもたちに対しても音楽を届けられないかと考えた」と話します。
去年挑戦したフルート奏者の山本葵さん(29)は「予定されていたコンサートが全てキャンセルされた時期もあった。誰とも一緒に演奏できないことがこんなにつらいんだと分かった」と話します。山本さんは音楽大学時代の友人に声を掛けてこのプロジェクトに応募し、財団のサポートを受け、アニメーターら13人とともに動画を制作しました。制作された作品は楽器ごとにキャラクターが割り振られているもので「特に今回はアニメーションと一緒にやったので耳からも目からも楽しめる」(山本さん)といいます。しかし作業は全てテレワークでやったため、苦労も絶えませんでした。山本さんは「アニメーションにしてくださいと楽譜に書き込んだが、アニメーターに『楽譜は読めません』と言われた。我流でみんなに笑われながらも人生初めて“絵コンテ”を書きました」と笑います。試行錯誤した作品作りとなりましたが久しぶりに感じた“音が重なっていく瞬間の喜び”はかけがえのないものでした。
山本さんは演奏家にとって厳しい状況は続いているものの、挑戦し続けることが大切だとして「最近も(コンサートなど)中止の流れがあるが、音楽を演奏家自身が止めないことが大事だと思う」と話します。そして「若い音楽家にはどんどんチャレンジしてほしい」とエールを送っています。
今回の取り組みに応募できるのは原則として18歳から40歳で、企画アイデアの募集は2021年9月9日が締め切りです。詳しくはソニー音楽財団のホームページをご確認ください。