浮き彫りになった問題を分析し活かす…Z世代が考える“東京五輪レガシー”

2021.08.25(水)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。8月9日(月・振休)の放送では特別企画「モニフラZ議会」を開催。Z世代の論客が“東京五輪レガシー”について提言しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。8月9日(月・振休)の放送では特別企画「モニフラZ議会」を開催。Z世代の論客が“東京五輪レガシー”について提言しました。

◆同じミスを二度と起こさないために…

東京2020オリンピックのレガシーとは「長期に渡って継承・享受できる社会的・経済的・文化的な恩恵」のことで、その5本柱となるのは、「スポーツ・健康」、「文化・教育」、「復興・オールジャパン・世界への発信」、「街づくり・持続可能性」、「経済・テクノロジー」です。

当番組では大会開催直前の7月23日(金・祝)にも同じテーマで「モニフラZ議会」を行いました。そこでは、慶應義塾大学 総合政策学部4年の阿部将貴さんは「次のメガイベントに向けた振り返り改善・継承」、タレントで起業家の加藤ジーナさんは「復興五輪&選手の活躍をメディアが見せて!」、Z世代の落語家・桂枝乃進さんは「伝統文化の継承」と提言。今回は、東京2020オリンピック終了後、結果としてどんなレガシーが必要なのか率直な意見を伺います。

まず阿部さんは「若い世代による五輪運営のレガシー化~振り返り委員会の設置へ~」と主張し、「何が問題だったのかしっかり見ていくことが大切」と訴えます。開催前には森喜朗組織委員会前会長の蔑視発言や開催費用の倍増、開催中にもバブル方式の崩壊や弁当ロスなどさまざまな問題がありましたが、それらが起きてしまった事実は変わらないため、「問題分析をし、二度と同じミスを起こさないことが大事」と力説。

さらに、振り返り委員会では運営に関与した当事者からそうでない人を含め、10代から40代までの今後メガイベントに携わっていく世代を幅広く登用し、今回どんな問題があり、その対処法について「叡智を集結し分析すべき。それを継承していくことが重要」と阿部さん。また、悪い部分だけでなく、例えば今回メダル獲得数が過去最高だったことなど良かった面も分析することで今後のさらなる発展の一助となると提唱します。

◆本当に重要なことを共有できず…大きな機会ロス

一方、開催前は「復興五輪&選手の活躍をメディアが見せて!」と希望していた加藤さんは「選手の活躍はよく伝わった! その他は機会ロスが多い→今後活かしてほしい!」と新たな提言を発表。

加藤さんは毎日のようにテレビで観戦し、選手たちの活躍を存分に堪能。その上で「無観客開催というのを1つの形として残せたんじゃないか」と評価します。しかしそれ以外の部分、それこそ加藤さんが望んでいた“復興五輪”という面や当初掲げていた“持続可能なオリンピック”、“コンパクトなオリンピック”といったところが「全く見えてこなかった」と苦言を呈します。

ただ、持続可能を見据えたパーム油の使用制限など、いくつかの策を講じていたものの「それが一般の人たちに全く伝わっていなかった」と惜しみ、「大会組織委員会が伝えたいことを、メディアを使って伝える。特に開会式・閉会式は世界中の人が観てくれるまたとないチャンスだったので、大きな機会ロス」と残念そうに語る加藤さん。

また、「日本の文化を伝えることも当然大事だが、世界が直面している地球が滅亡してしまうかもしれないという本当に重要な問題をみんなで共有する大切な場所だった」と嘆き、この悔しさを再び味わうことがないよう、2022年に開催される北京冬季オリンピック、2024年のパリオリンピックでは「世界のみんなで共有したいことをしっかり見せてほしい」と切望します。

◆日本に蔓延る旧態依然の組織体質が浮き彫りに

そして、「伝統文化の継承」を訴えていた桂さんは意見が大きく変化し、「旧態依然の組織体質」と問題を提起します。というのも、開会式・閉会式をとても楽しみにしていたそうですが「ネットの反応を含め、背景が気になって全体のコンテキストやストーリーを受け入れることができない人が一定数いて、今までの旧態依然の組織体質や開会式・閉会式を作るにあたってのさまざまな問題が浮き彫りになった」と桂さん。

今後もすぐにパラリンピックがあり、その後もオリンピックは続き、なおかつ2025年には大阪万博も行われるとあって「旧態依然の組織体質が浮き彫りになったこの記憶を次に残し、活かしていくべき」と希求。また、開会式・閉会式の内容に対しては「日本文化を世界にアピールする“温故創新”を見せる機会だったのにもったいない」と感想を口にします。

最後に次世代に向けた伝統の継承に関して、桂さんは「日本は若い世代の台頭を望むが、いざ出てきたら叩いて潰してしまう、組織体質に泣き寝入りしてしまうなどさまざまな問題がある」と指摘し、「そうしたことも今回浮き彫りになり、一つひとつ見直していくことで若い世代にチャンスを繋げる、そのきっかけになれば」と期待していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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