「生理の貧困」学生の5人に1人が悩む現状と取り組みを取材

2021.07.26(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。7月7日(水)放送の「フラトピ!」では、“生理の貧困”をキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。7月7日(水)放送の「フラトピ!」では、“生理の貧困”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆生理の貧困に自治体や民間企業も支援

“生理の貧困”とは、経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいる現状を指した言葉です。街頭で若い女性に話を聞いてみると、「(生理用品は)毎月かかる費用なので負担は大きい」(大学生)、「使いやすいものほど(価格が)高く、学生には手が届きにくい」(専門学校生)といった声が。ある調査によると、女性が生涯、生理用品に費やす金額は約70万円にのぼるという試算も。

20代女性による生理への理解を広げる団体「#みんなの生理」が、高校生以上の学生を対象にアンケートを行ったところ、「生理の貧困」にあたる学生は約20%

5人に1人の若者が直面している現状について「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんは、「ここまで深刻な数字が出るとは思っていなかった」と憂慮します。

いわゆる“生理の貧困”と言われる、食事やほかの必要なものを我慢して生理用品を入手している現状が日本でも明らかになったという谷口さん。さらには、「これまでは発展途上国や遠い国の問題と思われていたが、生理が“タブー視”されてきたがゆえに、なかなか可視化されてこなかったのが事実」と指摘。

ただ、そうした状況に対する支援の動きは広がっており、例えば、品川区では生理用品を無料配布。その他にも多くの自治体で防災備蓄品として確保していた生理用品を無料で配布しています。

また、企業にも支援の輪は広がり、例えば、生理用ナプキンが無料で手に入るのが当たり前という社会を目指し、「OiTr(オイテル)」というサービスを民間企業が開始。これは、トイレに設置した機械にスマホをかざすことでナプキンがもらえるというもので、モニターに広告を流すことで無料配布を可能にしています。

そして、田中は生理への理解を深める活動をしている大手日用品メーカー「ユニ・チャーム」を訪問。

そこでは現在『話そう、知ろう。生理のこと。』というテーマで生理に関するプロジェクトを始動。今までタブー視されてきた生理について隠すのではなく気兼ねなく話せる環境を作ろうと立ち上げられた「#NoBagForMe」です。

また、多くの人の声を聞くなかで特に職場間で問題が起きていることがわかり、そこでの理解を深めるべく「みんなの生理研修」を企業向けに実施。基礎的な知識から生理にまつわる不調やケア方法などが学ぶことができ、最近では受講生の半数は男性という企業も多いとか。さらには実際に講習を受け、生理休暇の導入やトイレに生理用品を設置するなど社内制度の見直しをした企業もあるそうです。

◆理解、可視化、さらには…生理の貧困を解消するために

谷口さんはこうした理解の広がり、あまり表面化されていなかった生理問題の可視化は「大きな一歩」と評価しつつも、一時的なサポートにとどまっていることを懸念。「生理は何回も起きるものなので、より継続的な仕組みが必要」と力説します。
さらには、「今はオープンにすることが強調されていますが、恥ずかしいと思うことも当然で、無理矢理オープンにするのではなく、安心できる環境でオープンにしていくことが大事」とも。

一方、気象予報士で防災士の久保井朝美さんは「(生理用品に)かなり価格差がある」と指摘。というのも、ナプキンも肌に優しいものや夜用は若干値が張り、価格の幅があると言います。また、30代になって初めて知った生理用品もあったそうで、「(生理について)語られないことで生理がある人でも知らない情報はかなり多い」と危惧します。

谷口さんも大きく同意し、「語られないがために必要な情報が普及せず、悩みを1人で抱えなければいけない現状が日本にはある」と問題を提起します。

「#みんなの生理」によるアンケートでは、「経済的な理由で生理用品を買うことに苦労したことがある」と答えた人は20%。「生理用品を買うことができず、生理用品でないものを使ったことがある」という人は27%。そして、「生理用品を交換する頻度や回数を減らしたことがある」という人は、37%となっています。

こうした現状に対し、キャスターの堀潤は「知らなかったことが多すぎる」と驚きを隠せません。そして、知らないことで軽視してしまうことを恐れ、社会の仕組みから議論する必要があると示唆。また、現在は子どもの貧困も叫ばれていることもあり、「より負担を強いられているところがあるのではないか」と案じます。

谷口さんによると、生理の貧困の原因は経済的理由だけではないそうで、なかには親に買ってもらえない、言い出せないなどさまざまな理由があり、「(アンケートの結果以上に)もっと多くの方が困っているのではないか」と推察。

世界に目を向けてみると、さまざまな取り組みが行われており、スコットランドでは必要としている人に生理用品を無料で提供。それが自治体や教育機関に義務付けられています。そして、フランスでは寮や大学内に機械を設置し、全学生に無料提供。ニュージーランドでも全学校で無料提供され、政府が約19億円を負担しているとか。

最後に、今後日本はどうしていくべきなのか、谷口さんに聞いてみると、まずは「より大きな文脈のなかで生理の貧困の問題を捉えること」と提案。生理の貧困はジェンダーや税金の使い方など「さまざまな社会問題と繋がっている」と言い、「そうした視点から捉えると、(生理の貧困は)ただ若い女性が困っているという問題ではなく、社会の構造の問題であることを解いていく必要がある」と主張します。

また、生理の問題は昔から不可視化され、何もしないと話題にさえ上がらないこともあり、「声を上げ続けること」の必要性も訴えます。「いろいろな人が、いろいろなところで声を上げることで、生理にまつわるさまざまな問題が解決に進むと思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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