地元のPRなどのために制作された「デザインマンホール」と呼ばれる、漫画やアニメのキャラクターなどが描かれたマンホールのふたが全国で次々と誕生しています。マンホールのふたを愛するファンもいて、東京都は支援する事業を始めています。

生前に市内に住んでいた縁で東京・東久留米市には手塚治虫の不朽の名作「ブラック・ジャック」がデザインされたマンホールのふたが、大人気漫画「こち亀」のキャラクターが描かれたマンホールのふたは作品の舞台・葛飾区に設置されています。
新宿区歌舞伎町では5月12日、ふたの交換が行われました。設置されたふたに描かれているのは、街のランドマーク「ゴジラ」です。新宿区は東京都と連携し、ゴジラの絵柄を利用したデザインマンホールのふたを新宿東宝ビル前の歩道上2カ所に設置しました。新宿区・文化観光課の菊地加奈江課長は「新宿はゴジラを観光特使に任命している。マンホール設置はゴジラに一役担ってほしいと考えて選定した」と話しています。中には朝から設置を待っていたという熱狂的なファンもいて、ゴジラファンが設置されたマンホールのふたを熱心に撮影していました。
一方、杉並区は4月、デザインマンホールのふたの展示会を開催しました。ずらりと並んだのは杉並区が協定を結んでいる自治体のふたで、小笠原村をはじめ、9つの自治体の18枚を紹介しました。来場した人からは繊細さや美しいデザイン性をたたえていました。
杉並区内に2020年2月に設置された5つのデザインマンホールのふたには区の公式アニメキャラクター「なみすけ」が描かれています。杉並区産業振興センターの石田和也さんは「デザインマンホールのふたをきっかけに、観光資源として区内のイベントのPRや地域活性化が図れると考え、デザインマンホールのふたを設置することにした」と話します。さらに、デザインは区内のイベントなどとひも付けたものになっています。石田さんは「例えば阿佐ケ谷駅前ではジャズストリート当日の演奏場所となるところに設置し、イベントとリンクさせてPRできたらと決定した」と話しています。
新宿区の「ゴジラ」や杉並区の「なみすけ」など、これらのデザインマンホールのふたに関する取り組みは、東京都が都内各地への旅行者の誘客促進を目的に行ったものです。2019年度からの2年間でデザインマンホールのふたの制作と設置を進め、17区と17市で205枚に支援しました。東京都のホームページにも「今!マンホールのふたが熱い!」と書かれています。2019年度の予算は9000万円でしたが、希望する自治体が増えたことで翌年度はほぼ2倍の1億7000万円に上りました。
現在、デザインマンホールのふたは「カード」にもなっていて、全国575自治体の758種類、47都道府県を網羅しています。コロナ禍のため制限はあるものの、基本的には下水道関連施設や観光案内所などで無料配布されています。
注目されるデザインマンホールのふたの、今後の地域や経済にもたらす影響について、経済ジャーナリストの磯山友幸さんは「地域に目を向けてもらうきっかけになる。その地域に、エリアを越えて観光のきっかけになるということももちろんあると思う」とした上で「マンホールもこれから、例えばコラボするお店が出てくるとか、そうなるともっと広がりを見せるのでは」と話しています。