脱プラスチック 使い捨て製品が有料化へ「日本の課題」とは

2021.03.18(木)

10:05

 2020年の7月から「レジ袋」が有料になり、生活の中にもエコバッグを持ち歩くことが定着してきました。こうした中、ことし3月に「プラスチック資源循環促進法案」が閣議決定し、小泉環境相からも“新しい習慣を”という話が出てきています。日本が「脱プラスチック社会」になる中でどんな変化が生まれるのか、まとめました。

 2020年の7月から「レジ袋」が有料になり、生活の中にもエコバッグを持ち歩くことが定着してきました。こうした中、ことし3月に「プラスチック資源循環促進法案」が閣議決定し、小泉環境相からも“新しい習慣を”という話が出てきています。日本が「脱プラスチック社会」になる中でどんな変化が生まれるのか、まとめました。

<プラ資源循環促進法が閣議決定 プラ製品が減る?>

 プラスチック資源循環促進法案は「使い捨てプラスチック製品の削減を目指す」という新法案で、飲食店やコンビニなどの事業者に対して使い捨てプラスチック製品の削減を求める内容です。使い捨てプラスチック製品には、コンビニやテークアウトで渡されるスプーンやストロー、クリーニング店で仕上がった上着などに使われるハンガー、ホテルの歯ブラシやヘアブラシといったアメニティーなど、対象は多岐にわたります。事業者は削減のための対策として、レジで「必要かどうかを確認」したり、レジ袋のように「有料化」、もしくは「プラスチックではない代わりの素材」に変えなくてはいけません。こうした対策を行なわない企業には罰則として50万円の罰金が科せられます。今国会中の成立を目指し、早ければ2022年春にも施行される見通しです。

<日本のプラごみリサイクル率は高くない!?>

 次に、日本のプラスチックごみのリサイクルがどうなっているか現状を見てみると「有効利用84%、単純焼却・埋め立てが16%」というデータがあります(環境省ホームページより)。しかし、この数字にだまされてはいけません。「有効利用」の大半を占めている「エネルギー回収」とは、プラスチックを燃やした時の熱エネルギーを利用しているという意味で、ごみとして燃やしていることに変わりはありません。新しいプラスチック製品に生まれ変わる「再生利用」は全体の23%に過ぎません。さらに問題があります。「再生利用」の208万トンのうち、半分近くが海外に輸出された上で「海外でリサイクル」=いわば“海外任せ”になっている現状があります。処理しきれないものが結局海外で捨てられたり、海に不法投棄される「海洋プラスチック問題」につながったりしていると指摘されています。

 こうした「海外への押し付け」を防ぐ新しいルールができています。発展途上国に産業廃棄物を押し付けないようにする国際条約「バーゼル条約」に基づいて、日本国内にも法律=通称「バーゼル法」があります。このバーゼル法が2021年1月から、条約の改正に伴い、これまで規制のなかったプラスチックごみも規制の対象になりました。輸出禁止になったわけではないものの、今までのように簡単には日本のプラスチックごみを海外に輸出できなくなりました。これからは国内で今まで以上にリサイクルをしていかないといけません。

<葛飾区発! ペットボトルリサイクル100%を目指す>

 新たな動きもあります。東京・葛飾区は3月17日、ペットボトルを再びペットボトルに戻すリサイクルの割合を100%にするため、区市町村としては全国初となる、全国清涼飲料連合会との連携・協定に関する協定書を結びました。現在は区民が購入したペットボトル製品のごみを区が回収し、リサイクルに回していますが、95%は卵パックや日用品のパウチ、シャツなどになっています。これを2021年度からは100%=およそ1700トンをペットボトルに再利用していく方針で「葛飾区から全国に広げていきたい」としています。

 今後は「小売店の価格への転嫁」「家庭ごみの有料化」「包装の簡素化」が進むのではないかと予測されます。未来の地球のため、生活スタイルを転換していくことが求められます。

 

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