男女交際を禁ずる校則、学校からの“退学勧告”の是非

2021.03.11(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。2月9日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」では、弁護士の菅原草子さんが“校則”について述べました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。2月9日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」では、弁護士の菅原草子さんが“校則”について述べました。

◆「男女交際を禁ずる」校則は問題か?

男女交際を禁ずる校則に反したとの理由で自主退学を勧告されたのは不当だとし、堀越高校の元生徒の女性が、運営元の学校法人に約370万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたことがわかりました。学校側は争う姿勢を示しています。

菅原さんが、このニュースで着目するポイントは2つ。それは、「校則自体に問題はないのか」と「校則違反ですぐに退学になってしまうのか」です。

まず「校則自体に問題はないのか」については、基本的に校則はその学校の指針、どういう学校を作りたいかなど裁量が大きいこともあり、「裁判でも全面的に『この校則がおかしい』と言われた例は見受けられないのが現状」と言います。そのため今回、裁判所がどのような判断を下すのか注目していると菅原さん。

訴訟の発端となった堀越高校の校則については、「個人的には変わった校則だと思う」と見解を示します。例えば、髪型や服装は自分の意思で決められるものの、恋愛は自然に始まるもので「感情や意思でどうにかできるものじゃないことを取り締まるのはどうかと思う」と疑問を呈する菅原さん。さらには、「お互い好きになり、付き合えるのなんて奇跡。学校はむしろ応援して見守ってくれるような、恋愛も学校で学べるようになったほうがいい」と提起します。

◆校則を破って退学…その判断は本当に正しい?

そして、もう1つの「校則違反ですぐに退学になってしまうのか」に関して、菅原さんは「学校の退学という判断が常に正しいとは限らない」と主張。実際、過去には裁判で争った判例もあるそうで、そのときの基準は学校に判断の裁量があるものの、その学生に改善の見込みがなく、教育上学外に排除することがやむを得ない場合に限り退学処分にしていいとし、その裁量の範囲は狭いと説明。

さらに「退学処分はそう簡単に出せるものではないというのが裁判所の判断」と補足し、「学校から退学という判断を下されたとしても、その時点でもうダメだと思わないでほしい」と声を大にします。もし退学処分が下っても、本当にその判断が正しいのか再度考え、誰かに相談し、時に学校と話し合い、ひいては「学校と戦うこともできることを知ってほしい」と力説します。

また、現状では学歴によって生涯年収は大きく変わり、中学卒と大学・大学院卒では約7,000万円もの差があると指摘。中学卒、高校卒のなかには、少なからず退学処分にあって働かざるを得なくなってしまう人もいます。しかし、その退学処分の判断の詳細は公表されないため、「本当に正しい判断だったのかはわからないところがある」と菅原さん。一度学校教育のレールから外れてしまうと再び乗るのは困難な場合があることからも、「退学してしまう前にもう一度考え、相談してほしい。いろいろと方法がある」と訴えていました。

国際弁護士で元裁判官の清原博さんは、今回の処分について「当初は重いと思った」と言います。しかし、この堀越高校は校則が厳しいことで知られていることから「親御さんからすると、校則が厳しいからこそ子どもを安心して学校に送れるということもある」とも。それぞれの学校で学風が違い、保護者からの期待などもあるだけに「校則違反を厳しく処分するというポリシーも、一概に否定できない」と自身の見解を述べます。

キャスターの宮瀬茉祐子も、今回の処分は重いと思うものの、校風などは事前にチェックしておく必要性を示唆し、「全ての行動には規約が伴うことを若くても勉強しておくこと、意識付けは必要なのかなと思う」と話していました。

番組では、視聴者に「高校入学前に、事前に『校則』を知っていましたか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。 

◆高校入学前に、事前に「校則」を知っていましたか?
はい……300票
いいえ……2,148票

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

 

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