東京・世田谷区は新型コロナウイルス検査について、4人の検体を1つにまとめて検査する「プール方式」と呼ばれるPCR検査を1月13日から始めます。プール方式の導入は東京都内で初めてです。
検査対象となるのは、症状のない高齢者や障害者施設の職員ら約1万5400人です。PCR検査はこれまで1人分を1検体として検査していましたが、世田谷区が始めるプール方式では4人の検体をまとめて試験管に入れて検査します。反応がなければ1度にまとめて「陰性」と判断でき、検査時間やコストの削減が期待できます。まだ国の検査方法としては認められていませんが、都内の感染者が急増する中、世田谷区の保坂区長は「1人が感染して、そこを検査して疫学調査するという方式はもう物理的限界に差し掛かっている」と意義を訴えています。
世田谷区のプール方式は今回は国の予算ではなく、東京都の補助金を使って実施される見通しです。
<プール方式で検査能力向上へ>
「世田谷方式」がようやく実現する見通しとなりました。
このプール方式と従来方式のPCR検査を比較してみます。例えば、検体12人の中に陽性者が1人いる場合を想定すると、これまでの方式ではPCR検査を1人ずつ行うため、人数分=12回の検査が必要です。これがプール方式で“4人ずつ検体をまとめて”PCR検査にかければ、陽性反応があったグループだけ個別に再検査すれば陽性者を特定できるため、検査回数は7回に減らすことができます。世田谷区では今後、1つのグループの人数を4人から増やすことも検討しています。
プール方式の実施が遅れてきた理由として、厚生労働省がプール方式の精度を疑問視し「行政検査」として認めてこなかったことが挙げられます。このため、検査費用は全て世田谷区の負担となり、なかなか実現できませんでした。今回、東京都から助成金がもらえることになり、ようやく1月からスタートすることになりました。
世田谷区は国に対して行政検査に含むよう再要請しています。世田谷区の保坂区長は会見で「全国に広げるためには、国に認めてもらわないと困る」「田村厚労相からは、2月までに結論を出す方針だと前向きな回答をもらっている」と話しています。
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