TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月2日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、元厚労省官僚で株式会社千正組代表の千正康裕さんが“霞が関のブラックな現状”について述べました。
◆霞ヶ関で止まらぬキャリア流出…
河野太郎国家公務員制度担当大臣は自身のブログで、中央省庁の幹部候補でキャリアと呼ばれる20代の国家公務員総合職87人が2019年度に自己都合退職したと明らかにし、6年前より4倍以上に増えていると危機感を示しました。そして、「国家公務員の働き方改革を進め、霞が関をホワイト化して優秀な人材が来てくれるような努力をしっかりと続ける」などと強調しました。
霞が関のキャリアは1学年約700人。2019年度の20代キャリアの離職数は87人なので、その割合は12~13%程度。一般的な企業では、大卒は3年で3割が辞めると言われており、霞が関は一見少ないと思われがちですが、官僚になるには難しい試験があるため、「本来であればあまり辞めない」と説明。
そして、このような離職状況が続くと官僚の数が減るとともに、現在は「採用難」で国家公務員総合職試験の申し込み者数も年々減少傾向にあるため、「このままでは政策を作るという機能が維持できるのか危機感がある」と千正さん。
また、「長時間労働」も大変で、残業は月平均30時間とされているものの、「(厚労省時代は)100時間、200時間はざらにしていた」と告白。残業代は予算の範囲内までしか捻出してもらえないため、たとえ100時間残業をしても30時間分しか支給されず、残りの70時間はなかったことにされてしまうと言います。
そういったこともあり、メンタルに異常をきたし休職に至ってしまう官僚も増加。そんななか、千正さんは他にやりたいことがあって転職する人を応援しつつも、「この仕事が好きなのに、諦めないといけない若い人が増えてきている」と危惧します。
◆元官僚が霞が関のブラックな現状に警鐘
では、なぜこうなってしまったのか。まず官僚の待遇面を見てみると、給料は一般企業よりは高いものの、大企業に比べると低いのが現状。ただ、就職時に大企業ではなく公務員を選んだということは、「お金や待遇を求めて官僚になっている人はそんなに多くない」と千正さん。
かたや「ブラックな働き方」は大きな問題で、特に今、現役官僚が現状に悲鳴を上げていることを匿名でSNSに綴っているのを目にした公務員志望の学生たちが躊躇したり、悩んだりしていると千正さんは紹介。そんな現状を「変えたい」と憂います。
そもそも官僚を志す人の一番の理由は、「社会のために政策を作りたいということ」。しかし、現状では「無駄な作業に追われ、政策を考える時間がなくなっている」と千正さん。さらには、「長時間労働をしているのに世の中の役に立っているのか、自分は成長しているのかわからない不安を若い人は抱えている」と指摘。
それだけに、まずは無駄な仕事を減らして「最低限の健康と家庭を守れるように」と主張。その上で現場を見て、政策を作ることができるよう変えていくべきと声を大にします。それが彼らにやりがいを持たせるとともに、「国民の立場からしても税金で雇っている官僚が無駄な作業をするのではなく、自分たちのために働け、無駄な仕事をさせるなと思う人が増えれば変わっていく」と期待します。
MCの堀潤は「政治家の責任も大きいと思う」と意見すると、千正さんは「与野党のケンカみたいなものを支える仕事も結構多い。だから、もっと国民のほうを見ていたいという人が本当は多い」と実情を話していました。
<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross
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