町工場から世界へ メイド・イン・ジャパンのアーチェリー復活させた『西川精機製作所』の思い

2021.10.01(金)

17:00

暮らしに役立つ情報をお伝えするTOKYO MX(地上波9ch)の情報番組「東京インフォメーション」(毎週月―金曜、朝7:15~)。
今回は東京2020大会が開催された東京での取り組みや人々の思いを紹介する『Our Legacy』で、日本製のアーチェリー復活に挑む創業61年になる町工場を紹介しました。

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今回は東京2020大会が開催された東京での取り組みや人々の思いを紹介する『Our Legacy』で、日本製のアーチェリー復活に挑む創業61年になる町工場を紹介しました。

◆西川精機製作所 西川喜久

東京2020大会が開催された東京を舞台に行われる取り組みや、そこに関わる人々の思いを紹介する『Our Legacy』。
今回は、メイドインジャパンの復活に挑む、ある町工場を取材しました。

東京都江戸川区にある、創業61年になる町工場。切削・板金・溶接から組立てまで、総合的な技術力を強みに、主に大学で使われる研究機器の製造をしています。
ここで、オリンピック・パラリンピックのある種目で使う道具が、日本で十数年ぶりに開発されました。

お話を伺うのは、西川喜久(ヨシヒサ)さん。十数年ぶりに日本で開発された道具とは?

(西川喜久さん)
「弊社では、このアーチェリーを作っています」

この町工場で作っているのは、1900年の第2回パリオリンピックから正式種目になったアーチェリーの持ち手部分。「ハンドル」と呼ばれる金属の本体を製作しています。
なぜ、町工場でアーチェリーを作り始めたのでしょうか?

(西川喜久さん)
「私が45歳の手習いでアーチェリーを始めたのが、そもそものスタートで。自分の弓具を揃えたいと思っていたところ、日本製がひとつもないことにショックでした」

実は、2004年アテネオリンピックでは、山本博選手が日本製のアーチェリーで銅メダルを獲得するなど、かつては日本製のアーチェリーも作られていました。
しかしその後、競技人口の停滞などを背景に、2000年代から国内メーカーが撤退。
そこで、この町工場が、60年以上、培ってきた金属加工の技術を使って、メイド・イン・ジャパンのアーチェリー復活に挑み始めたのは、約10年前。
構想から半年後、1号機を完成させると、プロの選手に見てもらうことに。すると…。

(西川喜久さん)
「まず、いちばん最初に触っていただいたときに、『ウィンドウが狭くないか?』と。そんなこと、気にもしたことないんですよ、実は」

弓をセットする「ウィンドウ」と呼ばれる部分の幅が狭く、矢を置くと、縦軸の中心幅から数mmずれていると指摘された西川さん。わずか数mmのずれで、矢を放ったときに振動が大きくなり、的の中心を狙いにくくなるのです。
さらに製作を進めると、ある事実が…。海外選手は、ぶれが起こらないように、重量のある弓具を好むため、海外製は重いものが多かったのです。

(西川喜久さん)
「自分の体型・体格に合ったような道具が、国内製であれば、より成績に寄与できる」

そんな軽くて精度の高いアーチェリーを製作するという過酷な課題を解決してくれたのは、金属加工で培った技術でした。
試行錯誤すること、5年。ようやく、納得のいくアーチェリーが完成しました。

(西川喜久さん)
「この的は、うちの製品の第1号ができたときに、日本のアスリートの人に打っていただいて。(見事、10点に命中しているということですよね?)もう飛び跳ねました」

西川さんが思い描く未来とは…。

(西川喜久さん)
「(Q.3年後には、パリでオリンピック・パラリンピックが行われますが?)アーチェリーは『洋弓』といいます。ヨーロッパがスタートですから、本拠地に日本の道具を持って、アスリートをサポートするメーカーとして、金メダルを、我々の力でサポートしたい」

町工場から世界へ。
西川さんの挑戦は始まったばかりです。

3年後のパリの舞台で、メイド・イン・ジャパンのアーチェリーが活躍する姿が、今から楽しみですね。








<番組概要>
番組名:東京インフォメーション
放送日時:毎週月―金曜 7:15~7:20
キャスター:久保井朝美、中村美公
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/tokyoinfo/

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