TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月3日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の菅原草子さんが“いじめ防止に向けた法律の充実化”について述べました。
◆年々増加するいじめ、学校側の対応は?
横浜市教育委員会は、いじめ防止対策推進法に基づく調査の結果、市立の小中学校で2件のいじめが認定されたと発表。調査報告書によると、いじめを受けた児童は心身の苦痛を訴え、保護者が転校を学校に申し出たものの許可は得られず、その児童は中学2年生になった今も重度のストレス障害との診断を受け通院中とのことです。市の「いじめ防止基本方針」では「学校いじめ防止対策委員会」を常設し、定期的に開催するとしていますが、問題のあった小学校では常設されていませんでした。
菅原さんは弁護士として日々いじめ問題に奔走していますが、現状、認知件数は増加傾向にあり、2019年は前年度6万件増の61万件以上。また、2013年の「いじめ防止対策推進法」成立に伴い、いじめの定義も定められており「被害を受けている児童の心理的または物理的影響を与える行為、その児童が心身の苦痛を感じているものはいじめと定義されている」と解説。
さらに、いじめのなかでも“重大事態”があり、それはいじめられた児童の生命、心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある、または相当期間学校を欠席している場合で、その際には特別な対応をすることになっています。
一方、学校側の対応も法律で定められていますが、「いじめを行った児童への指導」や「その保護者への助言」といった程度で、その抽象的かつ曖昧な規定を菅原さんは疑問視。「確かに学校のやりにくさもある」と案じつつも「これによって学校が対応できないところもある」と危惧します。
◆法律を学校が使いやすく充実した内容に!
総じて菅原さんは「現場が使いやすく、充実した内容の法律にすべき」と主張。まずは「いじめに対し、いろいろな対応が取れるようにもう少し具体的に例を提示してあげるべき」と言います。例えば、いじめられている子を他クラスに移動、もしくは転校させるなど。また、その場合は「基準も明確に定めてほしい」と補足します。
そして、菅原さんが注視していたのが「対応不足の学校に対するペナルティが定められていないこと」。そのために学校がいじめに対応しないケースがあるとか。ゆえに、教育委員会の指導や学校名を公表するなどペナルティの必要性を説き、「でないと(学校が)対応しないまま、いじめが残ってしまう」と心配します。
MCの堀潤は「教育委員会への指導も必要」と意見しつつ、それ以上に「いじめられた側がクラスを移動するのはおかしい。いじめた側が移動すべき」と指摘すると菅原さんも同意。法律上そのような見解があるものの、学校側の判断に委ねられているそうで、「現状では思い切った決断をする学校がない」と嘆きます。ただ、クラスを変えるなどちょっとしたことでいじめがなくなることもあるそうで、「どんなことでもいいので、少しずつ対応できるように変えていってほしい」と願っていました。
「東洋経済オンライン」編集部長の武政秀明さんは、根本的な原因として「閉鎖空間に閉じ込めて極端なまでに集団化する教育制度に問題がある」と言い、「多様性を認めるような教育にしないと」と訴えます。
また、キャスターの宮瀬茉祐子は学校が判断できないのであれば教育委員会とも違う第三者的な機関を作り、介入していくことを望んでいました。
<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross
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