ヤバ過ぎる「香港国家安全法」 世界は香港の民主主義を守れるのか

2020.07.20(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月8日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、「BuzzFeed Japan」元編集長でジャーナリストの古田大輔さんとタレントのフィフィさんが“香港国家安全維持法”について述べました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月8日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、「BuzzFeed Japan」元編集長でジャーナリストの古田大輔さんとタレントのフィフィさんが“香港国家安全維持法”について述べました。

◆香港国家安全維持法が施行…すでに逮捕者も

香港政府は「国家安全維持法」に基づいて設立した「国家安全維持委員会」の初会合を開き、香港警察による捜査手続きを定めた実施細則を決定。これにより、特定の状況では警官は捜査令状なしでの家宅捜索などが認められるほか、捜査対象者にパスポートを提出させ海外逃亡を防ぐ、インターネット上で国家に危害を加えるような情報があれば、プロバイダーにアクセス制限措置を求めることなども可能となります。

香港の国家安全維持法では「分離独立」、「反政府」、「テロリズム」、「外国勢力との結託」の4つの行為が犯罪とされ、最高刑は無期懲役。これらは一見どれも特に問題ないように思えますが、法律の施行に伴って新設された国家安全維持委員会で「緊急時の捜査令状なしの家宅捜査」、「ネット情報の削除命令」、「行政長官の許可を得ての通信傍受」、「捜査対象者の移動の自由の制限」が認められ、「捜査当局に強い権限を持たせることになり、(上記4つの犯罪行為に)関わった人たちを広範囲かつ高圧的に捜査するのではないかと懸念されている」と古田さんは言います。

法律の施行後は香港の民主化活動に携わった人がSNSの書き込みを一斉に削除し始め、疑心暗鬼と沈黙が広がってきており、「予期された急速な悪化を阻止できなかったことに対して、忸怩たる思いを感じている」と話す古田さん。

実際、施行日に行われたデモではおよそ370人が逮捕され、うち10人が国家安全維持法の容疑だったとか。そして、図書館からは民主活動家の本が撤去され、活動家は民主化団体に所属することが危険になり離脱、さらには海外に脱出する人が増加。報道の自由が失われるという懸念について、古田さんが香港の友人記者に聞いたところでは、今はまだいいものの、将来に関しては誰もが悲観しているそうです。

◆民主主義が世界的に抑圧されている

そんな状況に古田さんは、「香港の人たちだけで(民主主義を守る為に)戦うのは難しい」と言います。世界的には、西側諸国を中心に27ヵ国が「国連人権理事会」に非難声明を提出。一方で中国と縁の深い国々、キューバをはじめとした53ヵ国は国家安全維持法への支持を表明しています。それに対し、イギリスが香港住民を受け入れたり、GoogleやFacebook、Twitterは香港政府へのデータ開示を停止する動きも出ていますが、香港の民主主義を守るには大きな障壁があると指摘。

1つは経済成長による中国の強大化で、これにより中国の支援を受ける国が広がっていること。2つ目は、西側諸国の盟主アメリカが自国中心主義になっていること。アメリカは2018年に国連人権理事会から脱退し、前述の非難声明を出した27ヵ国に入っていません。それだけに、「民主主義の防波堤になるものがない」と古田さんは危機感を示し、「今は私たち1人1人の国家観や人間観が問われている」と声を大にして訴えます。

現在はフィリピンでも報道の自由が脅かされるなど、香港に限らず世界各地で同様の問題が起きているそうで、「こういったことに関心を持ち、抵抗する動きに連帯することが重要」と視聴者に呼びかけていました。

◆危険な国家安全維持法…香港住人以外も要注意

一方、タレントのフィフィさんは、国家安全維持法に対して驚きと怖さを感じたことが多々あると話します。その1つは、取り締まりの対象となる言動は香港に対するものだけでなく、ウイグルやチベットなどのことまで犯罪とみなされること。そして、外国人を含めた香港の住人だけでなく、香港にいない外国人も取り締まりの対象となることも。これはすなわち誰もがマークされ、香港や中国に入国すると拘束されてしまう可能性があるだけに、「私はTwitterやYouTubeで言いたいことを言っているから、もう香港や中国には行けないと思った」と本心を吐露。

さらに、フィフィさんが気になっているのは「国連」。古田さんが危惧していたアメリカは国連人権理事会からは脱退しているものの、大国だけに中国に対して圧力をかけることができると期待していましたが、国連に対しては「機能しているのか?」といぶかしみます。というのも、国連の声明は内容が薄く、「『人権が侵害される恐れがある』みたいな見解を示しただけ。国際機関としての役割、使命を果たしているのか」と強く非難。そして、その他の国際機関も中国の影響力が大きくなり、「今や国際機関が頼りにならない。忖度している」と憤ります。

その他にも、国家安全維持法の前文が施行まで公開されなかったこと、香港の法律では初めて英語で書かれていなかったということも大きな恐怖を感じたそう。しかも香港に入国した外国人も拘束できる法律は「世界で他にありますか」と指摘。また、古田さんが「イギリスが香港住民を受け入れる」という話をしましたが、イギリスはEU離脱の国民投票の際、国民の間で移民に対する強い反発意識があっただけに「(香港の人々を)快く受け入れる土壌ができているのか」と不安を口にします。

香港との関係が深い日本は、次回の「G7」で声明を出すという話もありますが、フィフィさんは「声明がどこまで効果があるかわからないが、形として日本の姿勢を示すことが大事」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

 

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