TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月4日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の倉持麟太郎さんが、“民主主義とカウンター・デモクラシー”について持論を述べました。
◆議員は政党と選挙の奴隷……
森法務大臣は、政府が黒川東京高検検事長の定年延長を閣議決定したことについて、手続きは適正だと改めて主張。野党は政府が延長を決めた1月31日の閣議以降に、定年延長を可能とする法解釈の変更を行ったのではないかなどと批判しています。
まず倉持さんは“議員は政党と選挙の奴隷”と辛辣に銘打ち、政党やそれにまつわる市民運動、メディアの動きが議員個人の活動を潰してしまった例を紹介。
1つは、立憲民主党の山尾議員が「憲法改正議論をやりましょう」と発言したところ、同党の枝野議員が、それは国会対策委員会マターであり、議員個人が決めるものではないと不快感を示しました。これについて倉持さんは、「それもおかしな話で、議員が憲法について議論する場が憲法審査会」と言い、「要は憲法改正を好ましいと思わない、一部の支持者を見て発言している」と指摘します。
さらに、憲法審査会で自民党の石破議員が発言を求め続けるも最後まで機会が与えられないということが。これを倉持さんは、「安倍首相の敵、石破さんの意見を憲法審査会で取り上げたくないという政党の思惑が、超党派的に議論すべき憲法議論を縛っている」と非難。
倉持さん曰く、これらは「支持者に配慮している」とのことですが、もうひとつ興味深い出来事が。国民民主党代表の玉木議員が安倍首相と改憲議論をすると発言した際、リベラルな支持者が「#裏切り者には死を」というハッシュタグを作り、これがトレンド入り。総じて倉持さんは、「非常に極端な一部の人たちの目を気にしすぎる政党により、議員が発言できなくなっている」と嘆きます。
◆選挙と政党が期待できない理由とは?
その理由を倉持さんは「選挙と政党がビジネスになってしまっている」と断言。そして、「当選することと議席を維持することがビジネス化し、そのためには人を動員しないといけない。市民運動も政治家や政党にくっつき、選挙に受かるためのものになり、それをマスコミが喧伝する」とそれぞれの関連性を明かします。
一方で国民の意識はというと、日経新聞が1月に発表した「数字で見るリアル世論 郵送調査2019」では、「日本の信用できない機関」の1位が「国会議員」と「マスコミ」という結果に。
また、「日本政治とカウンター・デモクラシー」(勁草書房)によると、政治参加経験がないという人はおよそ9割。さらに、「政治はやりたい人に任せておけばよい」とは思わないものの、「国民の意思表示が政治を変える」ことはなく、「政治を変えることができる」のは結局投票だと思っている人が多数を占めています。
これ対し倉持さんは、「僕らは民主主義について選挙と代議制民主主義しか知らない」としつつ、それに対抗する考えとしてピエール・ロザンヴァロン氏が提唱する「カウンター・デモクラシー」を紹介します。
これは、現状とは真逆の「選挙や政党とは独立した価値、理念、政策ベースの発信」がベース。ただ、既存の民主主義と対立関係にあるわけではなく、「カウンター・デモクラシーのさまざまな取り組みが選挙と相互補完的に民主主義を豊かにしていくようにしていかないといけない」と倉持さん。そして、民主主義の形も多様化し、「僕ら一人ひとりがカウンター・デモクラシーの担い手にならないと。もう政治家に任せていては駄目」と訴えていました。
<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross
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