TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月25日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の三輪記子さんが、被災者生活再建支援制度の在り方について見解を述べました。

◆相次ぐ自然災害、制度の対象となるのは?
甚大な被害をもたらした台風19号の被害住宅のうち、「床下浸水」と「床上1m未満の浸水」の住宅が全体のおよそ9割を占め、被災者生活再建支援法の対象外になると見られています。
水害の場合の支援法で、最大300万円が支給されるのは原則として「床上1m以上の浸水」などに限られており、浸水1m未満の住宅にはほぼ適用されません。しかし今回、浸水の程度が浅くても家財が水に浸かり、多額の損害が出た住宅も多く、支援法の在り方が問われそうです。
こうした状況下、三輪さんは弁護士会で台風被害に関する無料相談を実施しているそうで、「お住いの地域の都道府県名と弁護士会と入力して検索していただければ、無料相談を実施しているかどうかがわかると思います。ぜひ活用してほしい」と呼びかけます。
被災者生活再建支援法の支援措置を受けるためには、まず被災者が当該市町村に申請し、災害による被害の程度を証明する「罹災証明書」を交付してもらわなければなりません。「全壊」「大規模半壊」「半壊」など、認定された被害の程度によって支給される額の割合が変わるだけに、三輪さんは「罹災証明書はとても重要。携帯電話にカメラも搭載されているし、被害に遭ったら必ず記録を残しておくこと」と助言します。
罹災証明書が交付されると、被災者生活再建支援法に基づいて被災者への生活再建支援がなされますが、「まず大前提として、災害があれば絶対に適用されるわけではない」と強調。自然災害が発生した場合、制度の対象となるか否かは、市町村の区域内の人口と住家が滅失した世帯数などによって決するとあって「相当な被害が出ないと適用されない」と指摘します。
そして、適用された場合でも支給額は、1世帯あたり最大で300万円。三輪さんは「全壊したとしても、世帯に対する支援なので、(2世帯住宅など)1世帯に何家族、何人住んでいようと支給額が増えることはない」と補足します。
昨年発生した「西日本豪雨」の際にも、三輪さんは被災者生活再建支援法について取り上げました。「例えば、竜巻が発生して行政区域の境目を通過した場合、大規模災害と見なされない可能性がある。同一の自然災害なのに、公平な支援がなされているとは言えない。世帯ごとの支援であることや、支援額も低いのではないかという問題などがこの支援法にはたくさんある」と問題点を指摘。近年、全国各地で自然災害が相次いでいるだけに、「いつどこで自然災害に遭うかわからない。この支援法を変えていくためには、みんながこのことを知り、『おかしい』という声が大きくならないと変わらない」と声を大にしていました。
<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross