目黒女児虐待死事件の裁判を通して…今考えるべき“しつけ”と“体罰”

2019.10.23(水)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月16日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、キャスターでジャーナリストの岸田雪子さんが目黒女児虐待死事件の裁判を傍聴して感じたことを述べました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月16日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、キャスターでジャーナリストの岸田雪子さんが目黒女児虐待死事件の裁判を傍聴して感じたことを述べました。

◆傍聴して感じた3つの違和感

東京都目黒区で船戸結愛ちゃんが死亡した事件で、保護責任者遺棄致死や傷害罪などに問われた父親の雄大被告に対し、東京地裁の裁判員裁判は懲役13年の判決を言い渡しました。

弁護側は、雄大被告が結愛ちゃんに「明るく友達の多い理想の子であってほしい」と求め過ぎるあまり、強い暴力を加えるようになったとし、「父親であろうと苦しみや葛藤があった」などと訴え、懲役9年が妥当と主張していました。

岸田さんは元妻の優里被告が証人として出廷した裁判を傍聴し、そこで覚えたという3つの違和感を紹介します。

 

 

1つは、優里被告がものすごく動揺し、号泣していたこと。彼女は入廷前から泣き叫び、その後も小さな声で「こわいよ」とつぶやき、刑務官に支えられながら入廷する状態だったそう。そして、法廷では雄大被告との間に衝立が立てられ、優里被告は彼に背中を向け証言。その様子を見て岸田さんは、「彼女はDV認定されていますが、心理的な支配というのは(2人が)分離されてだいぶ経つものの続いている、その怖さを感じた」と言います。

一方で、以前よりも痩せこけた雄大被告は、刑務官や弁護士に対して妙に丁寧な振る舞いをしていたそうで、「彼の一種の演出というか戦略。二面性をすごく感じた」と岸田さん。一般的に、DV加害者はイライラし緊張した状態から暴力をふるう爆発期へと入り、その後極端に優しくなるハネムーン期が訪れるというサイクルを繰り返すと説明。とりわけ爆発期とハネムーン期は別人のようで、岸田さんは「二面性というのはDV加害者の典型でもあると感じた」と振り返ります。

 

 

また、虐待の理由について、雄大被告が常日頃から「太った女は醜い」と言っていたことが、児童相談所の職員の証言から明らかになっています。これは優里被告も証言しており、その言葉によって摂食障害になったそう。結愛ちゃんに対しても太らせないようタンパク質や炭水化物を与えず、「しつけや教育といったことを超え、誰も理解できないような理不尽な強要があったということ」と批難します。

◆第二の雄大被告を生まないために……

今回の事件に関し、「雄大被告が特殊な人だからということで片付けてはいけない」と岸田さんは声高に言います。ただ、雄大被告が「結愛がウソをつくのがいけない」、「歯磨きをしないのがいけない」などと言い、結愛ちゃんに問題があるとするのに対し、岸田さんは「理由だけ見ると特質性がない。そこにしつけと体罰、虐待との曖昧な境界線の怖さを感じる」と危機感を募らせます。

東京都では条例を改正し、しつけに対して細かく定義付け、体罰禁止の網をかけていますが、岸田さんは「網は広くかけておかないと養育が難しい家庭が実際にある」と指摘。というのも、二面性のある人が親にならないとは言えず、それだけに「しつけだから虐待じゃないという言い訳が通る社会にしてはいけない」と主張します。

 

 

また、現在は親が必要な範囲で子を戒めることを認める、民法の懲戒権の削除が法制審議会で議論されていますが、「それは絶対に必要だと改めて思った」と岸田さん。そこには反論もあるそうで、法律改正と同時に子どもをいかに育て、しつけをすればいいのか、「親に対して情報提供することが必要」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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