TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月1日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、フリーアナウンサーの丸山裕理さんが、災害時のSNS活用について見解を述べました。

◆「被災者生活支援マップ」に大きな反響
千葉市の会社員・山田耕司さんが、“台風の被災者を支援したい”とインターネット上に開設した「被災者生活支援マップ」が話題となり、閲覧者数を伸ばしています。これは、営業しているガソリンスタンドなど身近な生活情報を地図に反映したもので、台風15号の災害発生2日後にSNSで公開したところ反響を呼び、千葉県南部を中心に被災者からも次々と新たな情報が寄せられているそうです。
被災地を取材したという丸山さんは、「災害時のSNS活用の大切さを感じた。SNSの速報性と情報の信頼性を改めて考えたい」と言います。
今回の取材で丸山さんは、停電が11日間続いた千葉県山武市で洋食レストラン「ふらんす屋」を営む坂本義一さん、亜旗子さん親子に話を聞きました。台風15号の影響で停電、断水、通信障害が起こるなか、亜旗子さんはインターネットで情報収集をし、同市の被災状況をTwitterで発信し続けたそうです。
この日は、坂本さん親子が停電していた11日間で直面したことを時系列で振り返りました。
【9月9日(月)停電1日目】
台風15号が関東を通過。未明に停電が発生。台風通過後、猛暑でドライアイス、氷が街中からなくなる。
【9月13日(金)停電5日目】
車のガソリンを確保するため隣町へ。ガソリンスタンドは1時間以上の行列で、売り切れや販売制限も。
【9月14日(土)停電6日目】
Twitterでの発信を開始。
【9月15日(日)停電7日目】
大雨の影響で気温が低下。体を温めるお湯や、温かいお風呂が必要だった。
【9月19日(木)停電11日目】
21:00すぎにようやく電力が復旧。
時系列を紹介したうえで、丸山さんは「ポイントは、時系列によって欲しいもの、必要なもののニーズが変わってくること」と指摘。
また、亜旗子さんは今回の災害時にSNSを活用して良かったこととして、「全国から支援物資やボランティア活動に関する問い合わせが相次いだこと」「励ましの言葉で、精神的に救われた」「Twitterでの発信をきっかけにメディア取材による拡散があったこと」を挙げていたそうです。
次に、自治体の災害対応におけるSNSの利用状況を紹介します。
2014年以降、SNSを利用する自治体は年々増えているものの、2017年度の調査データでは、調査対象となった自治体数1,741に対し、利用率は54.0%。さらに、SNSの運用が情報発信のみの自治体が919に対し、情報収集にも利用していたのは22と大きな開きが。
そんな現状に、「(情報を)発信する個人の方に力があっても、それをうまく拾える仕組みがまだないことが明らか」と指摘します。加えて、もう1つ問題点として挙げたのは、「情報が果たして正しいのかどうか。その信頼性をどう担保するのかというところ」。災害時における自治体のSNS活用には「リアルタイムでの発信と信頼性の担保。この両輪で進めていくことを考えるべき」と提言します。
MCの堀潤も先日、被災した千葉県南部を現地取材したばかり。「僕のところに寄せられた情報を集約し、“メディアの皆さんへ”とタイトルを付けて発信した。すると、いろいろな(メディアの)人から声が広がって、捨てたものじゃないなと思った。メディア連携もあっていいと思う」と実感を口にすると、令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんも、「SNSから、ただ情報を拾うだけではなく、“私たち(メディア)がもっと拡散するよ”という流れできてきているのはとてもいいこと」と評価していました。
番組では、視聴者に「災害時に情報を得るメディアは何ですか?」というテーマで、生投票を実施しました。結果は以下の通りです。
◆災害時に情報を得るメディアは何ですか?
テレビ……1,278票
ラジオ……729票
SNS……558票
その他の媒体……156票
<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross