TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。9月18日(水)の放送では、HIV感染者の内定を取り消した雇用者側に賠償命令が下されたことについて意見を交わしました。

◆面接で感染の事実を伝えず
北海道内の社会福祉士の30代男性が、HIV(エイズウイルス)の感染を告げなかったことを理由に病院に採用の内定を取り消されたのは違法だとして、病院を運営する社会福祉法人に対し、慰謝料など330万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、札幌地裁で言い渡されました。
◆「感染有無の確認は許されない」
武藤裁判長は「HIV感染の情報は極めて秘密性が高い。事実を告げなかったとしても、内定を取り消すことは許されない」と指摘。さらに「そもそも事業者が採用にあたって感染の有無を確認することは、特段の事情がない限り許されない」とし、社会福祉法人に165万円の賠償を命じました。
心理カウンセラーの小高千枝さんは「そもそも何を理由に内定を取り消したのか。医療関係であれば(HIVの)治療薬があるということを知っているはずなので、なぜ駄目だったのか」と疑問を呈します。そして、「いまHIV患者数はものすごく増えていて、(陽性と)判明している段階でも1万5,000人以上はいると言われている。加えて、検査を受けていない方もなかにはいるので、2~3万人はいるとも言われている」と現状に触れつつ「今後、こういった問題が増えてくるのではないか」と危惧します。
弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんは「最近、就労に関係のないことやプライバシーに関わることは聞かないという流れになってきている」と前置きしたうえで、「HIVに感染していたとしても、特に就労には問題はないですから、裁判の判断は正しい」との見解を示します。
今回のケースでは、採用面接時に「持病はないか?」との質問をしていたとされており、田上さんは「(男性が面談で感染の有無を)否定したことをもって“嘘をつくような人だから”ということが(内定取り消しの)建前上の理由だった」のでは、と推測。
とはいえ「病院側としては、当然反省すべき点はある」と指摘し「業務に支障があるものであれば聞く必要はあると思うが、関係のないことであれば聞かないこと」と提言します。
そして、内定を取り消された30代男性に向けて「165万円の慰謝料を得たとしても就職ができなかったわけで、被害は回復できない。この方の今後の就労状況がどうなるのか気になる」と案じていました。
<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/