TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。9月12日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの長友佐波子さんが“雑誌の危機”について見解を述べました。

◆10年前に比べ部数は4割減
9月2日発売の週刊ポストに掲載された「韓国なんて要らない」という特集に対し、発行元の小学館と関わりのある作家らから差別的だと批判があった問題で、小学館は「誤解を広めかねず配慮に欠けていた」と謝罪しました。
今回の件はなぜ起きたのか……。週刊朝日編集長を務めた長友さんは「雑誌が売れていないから、ギリギリのところでやってしまったのでは」と推測します。10年前と比べ、総合週刊誌の発行部数は4割減。半減している雑誌もあります。
公表している発行部数は「刷り部数」で「売り部数」だとさらに減少。週刊誌は、ピークの1990年代に比べると4割しか売上がなく、雑誌全体の市場も大幅に縮小しています。
◆電子版は利益が少ない
電子版を読んでいるという人もいますが、配信されたコンテンツが読まれても「ほとんど儲けにはならない」と長友さん。電子版はどれだけ読まれたかで配信料が分配されますが、紙の雑誌に比べて利益がはるかに少ないそうです。
女性誌も同様で、10年前に比べると4分の1から5分の1程度。最近ではあらゆる「付録」によって打開しようとしていますが、厳しい現状は変わりません。
そこで、各誌編集長が考えるのは、何とかして読んでもらう、買ってもらうための施策。そこで様々な企画で勝負しますが、今回の「週刊ポスト」のようになってしまうと「その瞬間は読まれるかもしれないけど、あとでボディブローのように“あの雑誌はダメだよね”って返ってくるので、より厳しくなる」と指摘します。
長友さんは、博報堂メディアパートナーズによる調査結果を紹介。一般人のメディア総接触時間約7時間のうち、雑誌に割く時間はわずか10.7分という結果に。スマートフォンの爆発的普及により、余暇時間とお金をメディア間で奪い合うなか「雑誌はこのままでいくとかなり厳しいというか、生き残っていけるのだろうか」と不安を隠せません。
番組では、視聴者に「1ヵ月以内に雑誌を買いましたか?」というテーマで生投票を実施しました。結果は以下の通りです。
◆1ヵ月以内に雑誌を買いましたか?
5冊以上買った……171票
1〜4冊買った……795票
買っていない……1,941票
この結果に弁護士の倉持麟太郎さんは「新聞や雑誌は見ていると否応なしに自分が求めていない情報が入ってくる。それが重要。(ネットでは)アルゴリズムで自分の好きなものしか出てこないから」と紙媒体ならではの魅力を訴えていました。
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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:http://s.mxtv.jp/morning_cross/