TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。8月2日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、メンタルトレーニング上級指導士の田中ウルヴェ京さんが“大船渡高校の英断”について見解を述べました。

◆大船渡高・佐々木投手の登板回避に抗議殺到
全国高校野球選手権岩手大会の決勝で、最速163kmの右腕、佐々木朗希投手を登板させずに敗れた大船渡高校に抗議の電話が殺到しました。電話は決勝当日だけで150件ほどあり、およそ9割が抗議、残りは激励だったそうです。
この件に関して、田中さんはメンタルの側面から分析します。
2つの大きな前提として、まず、日本高等学校野球連盟(高野連)は球数制限を含めた検討に入ると言われています。そしてもう1つ「選手のケガ、本当の体の調子などは絶対にメディアには言わない」と言います。それだけに、佐々木投手が実はどんな状況だったのか、どのようなフィジカルデータのもとでの決断だったのかはわからないそうです。
◆今回のケースで監督が最優先すべきことは?
監督が今回のケースで何を最優先したのかと言えば、「佐々木投手が試合に出たらケガをする可能性がある」ということ。そして、もしも試合に出場しケガをしてしまえば、「たとえ勝ったとしても意味がなかった」と田中さん。
となると、ベストは「佐々木投手が出ずに試合に勝つこと」ですが、今回は負けてしまいました。しかし、ケガをすることが最悪のケースなだけに、田中さんはケガをして勝つよりも良いと捉えます。
「ケガをしてでも試合に出すべき」という人もいましたが、ケガをした場合のリスクやそのレベルはわかりません。そういった場合には、スポーツ心理学やスポーツ医学による“客観”と、監督や佐々木投手、チームみんなの想いといった“主観”のどちらかではなく、両方を大事に考えるという課題解決力、それこそが「スポーツのなかで一番重要なメンタル」だと田中さんは主張します。
“メンタル=根性”と言われることが、今もあるそうです。根性も大事ですが、田中さん曰く、それは主観の事実。一方で、客観的なデータは1980年代から進化し、スポーツ心理学は科学的見地がたくさんあり、フィジカルデータもスポーツ医学から生まれているそう。そんな主観と客観、どちらも大事なだけに今回のケースは「それは難しい決断だった」と田中さん。
◆セカンドキャリアも考えた英断
また、今回の決断が佐々木投手のセカンドキャリアに繋がることも考えられます。カナダのスポーツ心理学者であるテリー・オーリック氏も「本当の挑戦は競技で極めることだけではない。自分の競技人生以外の人生を破壊することなく競技において極めることが、真の挑戦です」と言っているだけに、田中さんは「自分のその後の人生も頑張りたいからこそ、ここで何を学ぶのか」と話し、客観と主観、両方の重要性を改めて強調していました。
タレントでラジオDJのサッシャさんも、さまざまな思いや意見があることを踏まえながら、一番かわいそうなのは監督であり選手だと話し、「ルールを作ることによって、そのルールでしかできないようにする。ルールがないから一番頑張っている人がかわいそう」とコメント。
MCの堀潤も、曖昧なまま決断を現場に押し付けている現状を嘆き、キャスターの宮瀬茉祐子は「決定を下すことがどれだけ責任が重く、矢面に立たされることになるのかということを考えてほしい」と願っていました。
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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/