TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月10日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが、今後の日米関係について見解を述べました。

◆日米安保は見直すべきか?
岩屋毅防衛相は7月2日(火)の記者会見で、トランプ米大統領が「日米安全保障条約は不公平」と言及したことについて「片務的との指摘は当たらない」との認識を示しました。
また、日本は基地を提供していることを踏まえ、「日米両国の義務は同一ではないが、全体として見れば双方の義務のバランスは取れている」と述べました。
トランプ米大統領の言及について、田上さんは「トランプさんは、大統領選の頃から『(日米安全保障条約は)不平等だ』と言っていた。今回も、『破棄も視野に入れている』との発言も出たが、『不平等だ』というところでとどまっている」と言います。
そして、日米安全保障条約の根幹として、第5条と第6条の条文を紹介します。
◆“日本国の施政の下”という部分がミソ
第5条を引き合いに、「日本国の施政の下にある領域において、いずれか一方に対して武力攻撃が危険を及ぼすものだった場合、(日米)双方で対処しましょうというもので、“日本国の施政の下”という部分がミソ」とし、「アメリカのほうで何かあっても日本は助けることがなく、日本が攻撃されたときだけ(日米の)両国で対応するというのが“片務的”と言われているところ」と説明。
MCの堀潤から「でも、(日本だって)基地の提供や、いろいろな支援を行っているし、アメリカ本土への攻撃に対するテロ戦争のときには、沖縄、横須賀から随分と人員を出した。“片務的ではない”“誤解を解きたい”という声もある」との指摘に、田上さんも同意し「アメリカは、日本の陸海空軍を含め、施設、区域を使用することが許されていて、全土基地方式になっている」と補足します。
また「アメリカは世界中に基地を持っているが、日本列島は圧倒的に戦略的根拠地にある」と話し、軍事アナリスト・小川和久さんの著書「日米同盟のリアリズム」から、日本列島が支える米軍の行動範囲を示します。
◆日本は自主防衛できるのか…?
そして「朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン紛争など、ずっと日本が出撃の拠点になっていた面もある。日本の基地提供がなくなると根底から覆り、中国やロシア、イラクに対してかなり弱くなってしまうので、メリットは果てしなく大きい」と主張。なおかつ、多額の駐留経費を負担しているとし「片務的というのは当たらない」と話します。
仮に、日米同盟がなくなった場合、日本は対米自立・自主防衛できるのか。そこで生じるであろう、以下の4つの問題を挙げます。
・核武装の必要性
・敵基地攻撃能力を欠いた自衛隊装備
・日米同盟解消の場合のコスト試算
・日本国憲法第9条2項
田上さんは「核武装すると、国際社会から爪弾きにされ、経済制裁を受けて自主防衛どころの騒ぎではなくなる」と推測し、自衛隊についても「あくまで米軍が矛の役割をする横で活躍してきた。自主防衛をしようとしても戦力が偏っている」と指摘。
続けて、「欧米でもNATO(北大西洋条約機構)の枠組みのなかでやっている。日米安全保障条約の割合を少しずつ減らして、インド、インドネシア、イギリス、オーストラリアなどと開かれたインド太平洋構想を広げていくしかない」と述べていました。
番組では、視聴者に「日米安保条約は見直すべきだと思う?」というテーマで、生投票を実施しました。結果は以下の通りです。
◆日米安保条約は見直すべきだと思う?
思う……2,064票
思わない……543票
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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/