TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。4月23日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、国際弁護士で気象予報士の清原博さんが、準強制性交等罪の判例について意見を述べました。

◆「心理的に抵抗できない」の判断
名古屋地裁岡崎支部は、虐待によって抵抗できない精神状態にあった当時19歳の娘と性交したとして準強制性交等罪に問われた父親に、無罪判決を言い渡しました。
清原さんによると、この裁判では被害女性が父親から性交渉を求められたときに“抵抗できない状況にあったのか”が争点となったそう。この被害女性は中学2年生の頃から性的虐待を受け続け、心理的に抵抗できない状態にあったとする精神科医の鑑定結果があったにもかかわらず、訴えは認められませんでした。
なぜ父親は無罪となったのか――。清原さんは「“心理的に抵抗できない”と“法律で言う抗拒できない”は違う概念。被害女性は父親との性交渉に同意はしていないが、法律の観点から客観的に見た場合、抵抗できる状態だったとみなされた」と解説します。
◆刑法改定も「19歳」は適用外
2017年に刑法の性犯罪の規定が改定されましたが「現行では、被害者が同意していないというだけでは処罰できず、抵抗できない状況であるということも立証されなければ有罪にできない。その部分は変わらなかった。18歳未満の子どもに対して、今回のように、父親が性交渉をすれば処罰できるようになったが、今回の被害女性は当時19歳。新しい法律が適用できなかった」と説明します。
◆“同意があった”としても有罪に
現在、世界的に「同意」がない性交渉は「強制性交罪」だという流れがありつつも「同意がない性交渉を全て有罪としたところで、加害者側が『同意があると思っていた』と証言すれば、故意はなかったと見なされ“無罪”になってしまう可能性がある。これでは被害者が苦しむことになる」と指摘します。
そして、多くの人に着目してほしいとの思いからスウェーデンで新設された「過失レイプ罪」を紹介しました。これは加害者側が「同意があった」と主張しても、状況を鑑みて、被害者が同意しているとは思えない場合は「有罪」になるそう。清原さんは最後に、次のように主張しました。
「被害者に寄り添うだけではなく、冤罪も防止しなければならない。両者のバランスのなかで、スウェーデンが『過失レイプ罪』を新設したという動きを日本は注視すべき」
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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/