東京に関わるさまざまな外国人の視点で東京の魅力を再発見するTOKYO MX(地上波9ch)の国際情報バラエティ番組「明日どこ!? DX」(毎週日曜13:00~)。12月9日(日)放送の「トレジャーニッポン」のコーナーでは、前回に引き続き、アメリカ人俳優のマイケル・キダさんが、伝統工芸が息づく職人の街・福岡県大川市を訪れた模様をお届けしました。

俳優業のかたわら、DIYで家具や小屋を作っているというマイケルさん。そんな彼が向かったのは福岡県大川市。家具を中心にした、伝統工芸が息づく街です。
前回訪れた茶室に続き、マイケルさんがたどり着いたのはデザイン家具の展示場。こちらは、ごく普通のテーブルかと思いきや、細部に“大川組子”の技術が散りばめられています。
300年前に生まれた大川の伝統工芸“大川組子”は、細かくひき割った木材を釘を使わずに組み、精巧な幾何学模様を作る技法です。
ここにある家具のデザインは、イタリア人家具デザイナーのジャンルーカ・トネッリさんが手がけたもの。制作に携わっているのは、大川の家具職人の園田雄司さんです。
園田さんは、組子を背もたれに用いた椅子を指し、「日本人なら、強度が持たないと判断するからこういう(背もたれの)椅子は作らない」と言います。日本だとどうしても強度や量産性を優先させてしまいがちなため、「(ジャンルーカさんのデザインに)勉強させてもらっています」と話す園田さん。
「(意見が)ぶつかりませんでしたか?」と尋ねるマイケルさんに、園田さんは「今回はなかった」と即答。「彼のデザインに対して“できることをやろう!”という気持ちだった」と、前向きかつ柔軟に捉えていたようです。
そんな園田さんの言葉に、ジャンルーカさんは「日本の職人の技術は素晴らしくて、とてもおもしろい仕事だった」と振り返ります。外国人の発想が加わることで、新たな可能性を感じさせる日本の伝統工芸。マイケルさんは感心した様子です。
続いて訪れたのは、株式会社丸庄です。
丸庄は、木の表面がゆるやかに波打つようなオリジナルの技術「ウェーブ加工」を施した作品が一番の売りだそうです。手ざわりもよく、光が当たると表面のウェーブがより際立ち、美しい作品です。
せっかくなので、ウェーブ加工の現場を見せてもらうことに。
節のまわりを巧みに削っていくこの加工作業。粗さの違うヤスリを何度もかけていくと、徐々にウェーブが出来上がります。しかしこの作業、職人の勘がすべてなのだとか。「最終的には目でなく、手で見ています」という職人の名言も飛び出しました。
最後に訪れたのは、家具工房西田です。
工房のなかへと案内してもらうと、そこには家具職人の西田さんが手がけた世にもめずらしいデザイン家具がズラリと並びます。
釘を1本も使っていない、樽をイメージしたチェスト。可動式の椅子がついた、細い1本足のコーヒーテーブル。引き出しが100個もあるタンス。底が丸くなっており、2人で座ると自然と寄り添ってしまうというラブチェスト……。どれも個性的で、西田さんの細やかな技術が光るものばかり。
15歳のときに家具職人の世界へと飛び込み、職人歴は55年にもなると言う西田さん。家具を作るときは、素材の木を見てからどんなものを作るのか考えると言い、「どこにもないような、人を感動させる家具を作りたい」と仕事への情熱を語りました。
個性的な家具やものづくりに携わる、たくさんの職人たちとふれあったマイケルさん。今回の旅を経て、「大川市はとても活き活きとしたいい街。職人さんたちは今もがんばっているし、その先のこともすごく考えている。この街はどんどん元気になると思う。来てよかった!」と満足そうな表情を浮かべました。
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<番組概要>
番組名:明日どこ!? DX
放送日時:毎週日曜 13:00~13:27
※再放送 翌週火・木・土曜 23:00~23:27 <TOKYO MX2>
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/asudoko/
番組Twitter:@asudoko_dx