東京・千代田区の元部長と元区議会議員に有罪判決が出された公共工事を巡る談合事件を受け、千代田区が職員を対象に議員との関係性を聞いたアンケート結果が公表されました。議員の優越的な関係や議員によるハラスメントの実態が浮き彫りになっています。

千代田区では2024年1月、小学校などの工事の入札情報を業者に漏らした疑いで嶋崎秀彦・元区議と吉村以津己・元千代田区行政管理担当部長が逮捕され、2人に執行猶予付きの有罪判決が出されています。この事件を受けて、区は原因究明と再発防止に向けて係長級以上の職員約300人を対象にしたアンケートを実施し、結果を7月31日に公表しました。
会見した千代田区の樋口区長は「職員と議員の間に、過度に濃密な関係があるのではないかということが明らかになってきた」と述べました。
アンケートによりますと、談合事件で秘密情報が漏れた原因について、200人以上が「職員と区議の関係性」に問題があったためと回答しています。また「議員から入札前の契約情報を求められたことがあるか」という問いに対しては、部長級の職員3人が「ある」と答えました。さらに、区議から「人事異動がどうなっても知らないからな」などと高圧的な態度を取られたという職員が複数いることも明らかになりました。樋口区長は「区議会とは建設的な、適切な関係を築いていきたい。そして職員を守っていきたい」と述べました。
区はアンケートの結果から、議員が職員に対して優越的な関係にあり、職員が議員の要求を断りづらい状況があったと分析しています。また、対策として「職員が議員に対応する際は複数人で行動することや記録を残す」といった規範を策定し、徹底していくということです。
<職員アンケートで判明 議員優位の関係性>
今回、千代田区は区議会議員と職員の間で談合が行われるに至った背景や組織の現状を把握して、再発防止に向けた資料にするためにアンケート調査を行いました。調査したのは今年(2024年)2月19日から29日までの11日間で、調査対象となったのは部長級から係長級までの区の職員=323人です。このうち308人が回答し、15人は未回答となっています。
まずアンケートを行うきっかけとなった「談合事件の原因」について聞いたところ、回答した308人のうち257人が「議員と職員の関係に問題があった」と答えました。この結果からも談合事件の背景にあった職員と議員のいびつな関係性が浮き彫りとなる結果となりました。
また「入札前に議員や元議員から契約情報を要求されたことがあるか」という質問に対して3人が「ある」と答えていて、全て部長級の職員だったということです。さらに「議員や元議員から嫌がらせやハラスメントを受けたか」という問いには24人が「受けた」と答えました。具体的な言動について聞いたところ「言うことを聞かなければどうなるか分からない」と脅しのような言葉をかけられたり、対応できない依頼を断ったところ「おまえの人事異動がどうなっても知らないからな」と言われた職員もいたようです。また、あいさつをしても無視したり存在がないような扱いをする議員もいたということです。
こうしたアンケート結果を受け、有識者からは「職員に対して議員が優位な関係にあったことが事件を助長したのでは」という意見や「職員が不正行為への関与の重大性について認識不足だったのでは」という意見があったということです。区は今後の再発防止策として「職員が議員に対応する際は複数人で行動し、記録を残すこと」「職員への研修などの実施や相談体制の強化など、組織変革に取り組む」ということです。
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