この4月から始まった運転手などの時間外労働の上限規制によって、地元住民らの足として欠かせない地域バスにも影響が出ています。運転手の確保が困難となったなか、新たに運行をはじめた目黒区のバスを取材しました。
(目黒区 都市基盤整備課 山下晃由課長)
「地域の日常の足となるような移動手段、そういった要望も多かったので…」
(乗客)
「うれしい。もう用が無くても乗ろうかなと思っている」
地元の期待を乗せ運行がはじまった地域バスとは…
(岡田記者)
「目黒区役所と目黒駅を結ぶ地域バスです。周辺エリアは坂が多い地形でもあり、地域の足として活用が期待されています」
先月26日から最大3年間の実証運行が始まった「さんまバス」。目黒区役所を出発し、2つの病院や落語「目黒のさんま」の舞台となる茶屋坂、恵比寿ガーデンプレイスなどをまわって目黒駅まで行くルートを往復するもので、一日6便90分間隔で運行しています。
(目黒区 都市基盤整備課 山下晃由課長)
「地形の問題で坂道があったりとかそういったところで、長年地域の皆様からはずっと移動手段として、この地区にバスのルートがなかったものですから、地域の方からもかなり喜びの声をいただいている」
(車内アナウンス)
「次は茶屋坂・茶屋坂でございます」
実際にバスでルートを巡ってみると…
(岡田記者)
「これだけの上り坂下り坂、この道を歩くとなると、やはり高齢者の方などには負担が大きいのかなと感じます」
期待を乗せてはじまった「さんまバス」にはお昼の時間帯になると、高齢者が次々と乗り込んできます。
(乗客)
「普通の民間のバスはすごく混んでるでしょ。できたらいいなと思っていたので」
(乗客)
「どんなものか乗ってみましょうということで。停車する場所が『あ~ここだったら便利だな』と。果たして1時間に一本正確に来るか来ないかそれが問題」
女性客らは試し乗りをして、「今後も使うか決める」と話していましたが、区の施設や病院など、地域の人にとって欠かせない場所をめぐりながら、今の時期ならではの桜の景色も楽しめるバスに満足したようでした。
(乗客)
「うれしい、うれしい。だって家にひきこもっちゃうもの、足がないと。面倒くさくて。もう用が無くても乗ろうかなと」
そして区役所に到着すると…
(乗客)
「改めていいです。急がない場合はのんびりといいです。各病院の前止まりますからね。助かるんじゃないですか、目黒駅から乗った方は。とってもいいです」
地域バス実現に向け、地元住民らは数十年にわたって協議を重ねてきました。
(目黒三田町会 三柴伸生会長)
「20数年くらい前から目黒区だとか、区議会だとかにいろいろいお願いをしたり、いろいろなところに調べに行ったりして、『こういうコースがいいんじゃないの?』『ああいうコースがいいんじゃないの?』といろいろ検討して、今日に至った。数多くの方に乗っていただいて、コースを延ばすなり、便数を増やすなりそういうのができればいい」
念願の地域バス。運行開始も課題に直面しています。
(目黒区 都市基盤整備課 山下晃由課長)
「2024年問題でドライバーさんの不足ということで、2分の1の本数で運行している状況です」
今月からはじまった自動車運転業などの時間外労働の上限規制の影響で、ドライバーの確保が難しく、当初予定していた1日12便の運行ができず、半数でのスタートとなりました。
(目黒区 街づくり推進部)
「ドライバーさんの手配がつき次第、いまのところ7月を予定しておりますが、12便の運行に戻っていく予定で進めています。多くの方にご利用いただいて、継続して運行できるような形で、皆さんにご利用いただければ」
実証運行が進められる「さんまバス」、地域住民の”新たな足”としての定着を目指します。
新たに地域バスを始める自治体がある一方で、ドライバーの確保が難しい足立区では3月末で、地域バス2路線を廃止しました。区の担当者に話を聞きました。
(足立区 都市建設部 長澤友也交通対策担当部長)
「2024年問題で運転手が不足していて、どうにもやっぱり、この路線に運転手を貼り付けておくことができない。区の方が支援をすると話も持ちかけたんですけど難しいということで、やむなく廃止という状況です」
区民からは地域の足がなくなることに困惑する声が挙がっているということです。
ただもちろん足立区も地域の足を確保を重要視していて、6月から新たな実証実験を始めます。「足タク」というサービスなんですが、自宅と決められた病院や駅などを割安な料金で移動できるというもので、6月半ばから12月までエリアを限定して実証実験が行なわれます。料金は迎車料金と運賃を合わせて、2000円以上なら1000円で、2000円未満なら500円で利用することができます。利用日時は午前8時から午後5時まで、上限は1人月8回までです。
区役所や病院など、地域の人には欠かせない場所へのアクセスというのは、非常に重要なものです。地域の足をどのように確保していくのか、今後の課題となりそうです。
この記事が気に入ったら
「TOKYO MX」 公式
Facebookアカウントを
いいね!してね