新しい資本主義の一端、インパクト指標の重要性…そこに繋がる新たな試み「アウトカムファンド」とは?

2023.06.01(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜7:00~)。5月17日(水)放送の「New global」のコーナーでは、“インパクト指標”と“アウトカムファンド”について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜7:00~)。5月17日(水)放送の「New global」のコーナーでは、“インパクト指標”と“アウトカムファンド”について取り上げました。

◆日本の経団連も重視する“インパクト指標”

「新しい資本主義」を掲げている岸田政権。キャスターの堀潤曰く、そのなかには近代の経済のあり方、いわゆる市場重視、株主重視の末に起きている貧富の拡大や持続可能性の喪失、中長期的投資の不足が起きている現状を変えようとする動きがあります。

最近では付加価値をつけることで経済を回す、そして企業価値を優先する“GDP至上主義”なる言葉も生まれていますが、ノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏は、そうした傾向を危惧。先日、新潟で行われたG7の財務省会議では講演などを行い「多様な指標が必要」と主張しています。

この“多様な指標”というのもさまざまで、そのひとつが「インパクト指標」です。これは事業や活動の結果として生じた環境や社会に与えた良い影響(インパクト)を示す指標で、日本の経団連も重視。2022年にはこれを投資基準とするべく、経団連として使える84項目の指標を公表。そのなかには「雇用創出数」、「サイバー攻撃の予防件数」、「疫病罹患者数」、「再生可能エネルギーの利用量」などがあります。

つまり、インパクトに基づいて経済活動をしましょうという流れですが、そうなると国や経済界など大きな母体が主導する方向が窺えるなか、つい先日、民間で実行する動きが発表されました。それは「アウトカムファンドの設立」です。

◆社会課題の解決を促すアウトカムファンド

“アウトカム”とは、孤独・孤立対策や自殺対策、さらには格差対策、シングル家庭の収入対策など、社会的には重要な問題であるものの経済合理性にはそぐわない、しかし達成しないといけない目標のことと堀は解説。そして、利益が生まれにくいその部分にしっかりとお金を回そうというのが「アウトカムファンド」です。

これは日本の認定NPO法人・日本ファンドレイジング協会と韓国のSKグループの企業財団がタッグを組んで設立されたもの。社会課題解決への効果を検証・データ化し、世の中により広げていくべきと判断されれば達成度に応じて年間最大1,000万円の資金提供が受けられ、「これで本当にアウトカムというものがどうやって達成できるのか検証しながら、広げていこうというもの」と堀は解説します。

医師の友利新さんは「本当に素晴らしい試み」と称賛しつつも、「ポイントはこれ自体も持続可能でなくてはいけない」と懸念点を指摘。「これはファンドで、当然お金を集めるんでしょうが、湯水のごとくお金があるわけではなく、プラスにならないといけない。本当に上手く回るのか見てみたいし、でもどうすればいいのか私にはまだ見えていない」と語ります。

コラムニストの河崎環さんは「インパクト指標にしてもアウトカムファンドにしても、どういったものを今後の社会、我々人類が欲しがっているか。どういう風に社会を変えていきたいのかという方針がしっかりしているからこそ、項目として立てていける」とし、「そこに社会貢献としての欲望を持っている人たちがいるというのはいい話」とこうした流れが生まれることに肯定的な姿勢を示します。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんも「社会課題を解決しようと起業される方もたくさんいるが、経営していくにつれて目先の利益を追いかけてしまう。なので、こうした指標があると、やりたいことをしっかりできることにつながると思う」と社会への好影響に期待を寄せます。

最後に、堀は「“アウトカムファンド”、ぜひ心に留めておいてください」と視聴者に向けてメッセージを送っていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

 

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