問われるマスク着用の是非…今後のマスクの必要性についてZ世代とXY世代が激論

2022.10.28(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」では、“マスクルール”の浸透に必要なことについて、Z世代とXY世代の論客が議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」では、“マスクルール”の浸透に必要なことについて、Z世代とXY世代の論客が議論しました。

◆マスクルールの浸透はナンセンス!? 大事なのはエビデンス!?

今国会で岸田首相が言及した「マスクのルール化」。厚労省は“屋外では原則マスク不要”としていますが、周囲の目や感染への不安から脱マスクに踏み切れない人も。脱マスクに向け、独自のルール作りをする企業も現れるなか、マスクルールを浸透させるためには何が必要なのでしょうか。

Z世代のFridays For Future Tokyoオーガナイザー・黒部睦さんは「“マスクなしの人がいても安心”と思えるよう政府が働きかけを」と主張。

そもそも「(ルールは)浸透しているのではないか」とし、むしろマスクをしていない人に対して不快な思いを抱いたり、心配になったりすることが問題で、「マスクをしなくてもいいという働きかけではなく、していない人がいても安心だと思えるような、例えば医学的なデータなどを提示し、どう相手を思うかという考え方を発信することが大事」と声を大にします。

この主張に、XY世代のテレビプロデューサー・結城豊弘さんは「まさにその通り」と同意。厚労省など行政がしっかりとエビデンスを出すべきと言い、「総理や政治家が(マスクルールに関して)もっと発言すべき。(彼らが)真剣に言わないから伝わらない。他国では政治家が前に出て『外ではマスクをしなくていい』と言っている」と指摘します。

一方、Z世代でアフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは「政治家が真剣に言わないのは当然」と持論を展開。なぜならマスクルールに関して言及したとしても選挙の票を稼ぐことはできないからと説明すると、結城さんは「そんな政治家はダメ!」と反論。「真剣に言わないとダメ。真剣に言えば絶対に伝わる。そうしたことをしていかないと」と忠言します。

ただ、これは阿部さんの論点とは異なるようで、「政治家もインセンティブに向き合わないといけない。政治家なんだからやって当然というのは難しい。真剣に言うと同時に、いかに損がない状態で情報を発信できるのかを考えてあげないと『政府が働きかけを』と言っても意味がない」と指摘。

結城さんは、改めてエビデンスを明らかにすることの重要性を強調すると同時に、「ひとつ考えなければいけないのは第8波の話が出てきていること。その場合はどうなるのか、それも含めて議論しなければいけない」と危惧します。

ふたりの喧々諤々とした議論を見守っていたキャスターの堀潤は、政治的なメッセージとエビデンスの重要性を認めながらも「マスクは“自己表現”」という考え方を提示。

先日、堀がアーティストの方々とシンポジウムを行った際、そこではマスクを着用は自由で、つけていようが外していようが全て受容できる空間が広がり、「とても気が楽だった」と振り返り、「マスクつける・つけないもそれぞれの表現としてやってみては」と提案します。

堀の意見を補足する形で、結城さんからは「同調をどう考える?」との問題提起も。マスクの問題も“同調”であり、「海外から帰ってきた友人はみんな『日本はみんな同じ』と言う。僕もそれはすごく思っていて、そうした日本の同調圧力をどう考えるべきなのか」と疑問を呈します。

これに黒部さんも頷き、「ルールを浸透させるということ自体が同調圧力っぽい」と話します。そして、浸透・周知させること、みんなが知っているということは大事なものの「マスクを外した状態になったことが、ルールが浸透したということではない。みんなが同じ状態になることを求めるのではないルールの浸透のさせ方を考えていかないと」と自身の考えを述べます。

◆大事なのは自分で考え判断すること、偏見のない環境づくりも

現在は独自のマスクルールを設ける企業も出てきており、今回、IT大手のGMOインターネットグループを取材。そこでは9月から社内で「任意で脱マスク」とルールを緩和。パーテーションで区切られた席では「マスクなしも可能」としており、46人いるフロアではおよそ3割の14人がマスクを外して仕事をしていました。

但し、来客などの対応の際にはマスク着用を必須にしており、他にも日立製作所や楽天グループなどがマスクの着用を任意にしているそうです。

阿部さんは、このような取り組みを実施している企業に、マスクを任意にした結果、感染者数はどうなったのか、職場にはどんな影響があったのか「効果の発表」を熱望。

結城さんと堀は「賛成」と大きく頷きつつ、加えて結城さんは「考える大切さ(判断)」を訴えます。「ルールも大切だが、自分でどうなのか、みんな考えていない。周りの人はどうなのか考えてしまうがそうではない。自分で考えなきゃいけない。それがこの社会を変えることにつながる」と力説。

黒部さんは、「(マスクを)着用していない人に持つ印象がネックなんじゃないか」と“印象・イメージ”の問題に言及。

JOB総研が実施したアンケート調査によると、「今後もマスクを着用するか?」という質問に対し、「マスク着用を続ける」という回答が約9割で、「マスクをしていない人に持つ印象」について聞いてみると「関わりたくない」が36%。さらには「不快に感じる」が26%でした。

この調査結果を受けて、「マスクを外したいと思っていても他人から不快に思われるという理由で外せない人が多いと思うので、そこを変えていくことが大事」と黒部さん。

番組Twitterのスペースには、多くの視聴者が参加。その中で、会社で健康管理を担当しているという方からは「非常に難しい問題だが、任意で自分たちが判断したものに偏見がないような体制づくりを心がけている」との意見が。具体的にはコミュニケーションを重視しながら、コロナの感染状況、ウイルスに関する知識とバランスをとった施策を考えているそうです。

また、知的障害の子どもを持つ親からは「知的障害や発達障害を持っている子どもたちは、視覚的な情報が有意で、表情や発語につながる口の動きが見えないというのは大きな弊害になっている」と切実な悩みも。大人は基本的にマスクをつけていることが多く、表情が見えないため、発達面でどうなのか心配で、外したいとは思うものの外しにくいのが現状だと胸中を吐露。そうしたなかで「まずは公共の場所でパーテーションなどがなくなっていたりすると、以前の状態に戻ってきているということが少しずつ認識できるのかなと思う」と率直な意見を語ってくれました。

別の角度からの意見に堀は感心しつつ、「確かにウイルスが体に与える影響だけじゃなく、発育に関するエビデンスも今後研究進んでいけば」と期待を寄せると、結城さんは「手話をやっている方は、(マスクで)口の形が見えないから『手話が伝わりにくい』と言っていた。これも考えていかなくてはいけない」と補足します。

マスクルールを浸透させるために必要なことを、Z議会を代表して黒部さんが発表。それは「自己判断できるエビデンスの提供を」

阿部さんは、その上で意識しなければいけないこととして「ルールに対して従順に従うのではなく、どうしてそのルールにしたのか問い合わせる。そうすることでエビデンスへの意識も高まると思う」と付け加えます。結城さんは「自分で考えること」の重要性を改めて訴えると、堀は視聴者からの多様な意見を受け「さまざまな場面における証拠、暮らしに合わせたエビデンスが必要なんだと思った」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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