空き家と貧困、2つの大きな社会問題に貢献する「自分で住み込みリノベーション」

2022.04.07(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、2つの社会問題に貢献する“空き家リノベーション”についてキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、2つの社会問題に貢献する“空き家リノベーション”についてキャスターの田中陽南が取材しました。

◆その数846万戸…全国各地に蔓延る空き家問題

総務省の調査によると、2018年時点の全国の空き家数は、過去最多の846万戸。そして、空き家率は13.6%となっています。空き家があることでどんな懸念点があるのかといえば、まずは家屋倒壊の危険や景観を損ねること。そして、衛生環境の悪化や不法侵入などの犯罪リスクが挙げられています。

そんな空き家をリノベーションし、シェアハウスとして再利用すると同時に、別の社会問題までをも一挙に解決しようとしている企業が、リノベートジャパン。今回、田中はその取り組みを取材。訪れたのは、東久留米市にある築50年の家。

20年以上前に空き家になって以来、ずっと放置されてきたというこの家屋を、現在リノベートジャパンで改修中。居間として使われていた1階はシェアキッチンに。そして、2階は古くなった床や壁、天井などは修繕し、住居者用の賃貸の個室とシェアスペースを作る予定だとか。

◆空き家問題と同時に住宅難民問題の解決にも貢献

空き家問題の解決に効果的なのはリノベーションと言われていますが、リノベートジャパンで行っているリノベーションは他の企業とは異なり、家や仕事に困っている人が空き家に住みながらスタッフとして改修を手伝っています。

住み込みで働くスタッフの時給は1,200円。週に3時間働けば家賃はかからず、以降は給料として支払われます。

なぜこうした仕組みを作ったのかといえば、「家が空いている一方でホームレスやネットカフェ難民の問題、家にまつわる課題を抱えている人たちが日本では社会問題になっている現状がある」と代表の甲斐さん。

厚生労働省によると、ホームレスは全国に約3,800人、ネットカフェ難民は、都内だけで約4,000人。そんななか、甲斐さんは「(空き家と貧困)2 つの問題は矛盾しているように見え、両方の問題が社会問題として存在しているので、どうにかその2つを結びつけて解決できないか」という思いでこの取り組みを始めたと説明。

実際に住み込みスタッフとして働いている人に話を聞いてみると、「仕事の選択肢を増やしたいと東京に引っ越したい気持ちがあり、ここなら自分の人生を立て直すにもいい方向に働くと思って決めた」とその動機を語ります。また、周りのスタッフもとても優しく、生活のことや仕事のことなど親身になって相談に乗ってくれるそうで「ポジティブな気持ちでいられる」とも。

甲斐さんは「今まで2つの社会問題が矛盾する形で併存していたと思うが、空き家側も困っている。その課題を解決する過程に、家と仕事に困っている人を巻き込めば、両者がwin-winの形で問題を解決できるんじゃないか」と思いを語ります。

そして、「この取り組みのコンセプト化・社会現象化を狙っていて、他の人でも、他の地域でも真似できるような形にし、空き家も貧困も地域の方々が副業として、街づくりの取り組みとして立ち上げられるような形にしていけたら」と今後を見据えていました。

◆空き家リノベーションの仕組みとは?

空き家リノベーションの仕組みとしては、リノベートジャパンが空き家を購入、もしくは借り上げ、その一部を住み込みができるように改修。その後、家や仕事に困っている人を呼び、住み込みながらリノベーションをしてもらい、その間は賃金を支払うとともに、次のステップ形成の支援も実施。

そして、改修終了後にはシェアハウス、さらには住む家に困っている人向けのシェルターなどとして運用。なお、住み込みスタッフはそのままシェアハウスに住むもよし、次のステップに進むもよし、次の空き家の改修に携わってもいいそうです。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、「すごく素敵な考え」と絶賛。なかでも、いろいろな人が真似できるようにという部分に感銘を受けた様子。

以前からシェアハウスに住んでいるというインスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、「シェアハウスはただ安いだけでなく、心の面などいろいろな部分で補い合える大事な場所なので、とても素敵なことだと思う」と共感する一方で、「日本は、住宅の気候変動対策の面で遅れている。その辺りがどうなのか」と省エネ対策などがしっかりされているのか案じていました。

また、岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんは「空き家問題はこれまで単にもったいないと思っていたが、この取り組みをみると(空き家が)多いことはチャンスと捉えることができると思った」と率直な印象を述べます。その上で、「仕組み自体は難しいことをしているわけではなく、シンプルな仕組みで解決できているのが素晴らしい」と高く評価。

キャスターの堀潤も「このようなソーシャルビジネスが全国に広がっていけば」と期待していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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