死にたい、死ぬことが希望…うつ病患者が涙ながらに語る苦悩

2021.07.07(水)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月16日(水)放送の「フラトピ!」では、「うつ病患者の苦悩」をキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月16日(水)放送の「フラトピ!」では、「うつ病患者の苦悩」をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆うつ病経験者が赤裸々に語る“苦悩”

先般、プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手がアスリートの心の健康が無視されていると記者会見を拒否し、大きな話題に。そしてその後、彼女は「うつ」であることを告白し、波紋は拡大。ネット上では「うつ病なら仕方ない」、「うつを公表したら、会見拒否は許されるのか」、「会見のあり方を問うためのメッセージだと思う」など、さまざまな意見が飛び交いました。

世界の第一線で活躍するアスリートさえも苦悩するうつ病について、どれだけのことをご存知でしょうか?
田中は、うつ病を経験した作家で漫画家の小林エリコさんを取材。うつ病になったきっかけから症状、苦悩など、壮絶な過去を赤裸々に話してくれました。

まずは「きっかけ」について。小林さんは「子どもの頃から生きていくのが難しい、つらいと感じていた」と言います。彼女の家では父親が母親に暴力をふるうことが多く、子どもの頃からよく眠れないことが続き、さらには学校でもいじめにあい、「中学に入った頃からは、ずっと死にたいばかりだった」と吐露。特に小学・中学・高校と学生時代が最もつらく、中学時代には先生にも嫌われ、両親も手を差し伸べてくれなかったと言い「誰も助けてくれない経験をし、心を病まないほうがおかしい」と涙ながらに語ります。

大人になってからも10年以上働けず、4度の自殺未遂も。そのときの状態については、「『これで楽になれる』と思って、明るく前向きだった。死ぬことが希望だった」と小林さん。ここ数年は執筆活動など精力的に活動していますが、うつ病を患っている間はやる気が出ず、考え方も今とは全く違うものだったと言います。

では、うつのときには、どのようなことを考えているのか。小林さんに伺ってみると「マイナスのことばかり考える。この先、自分にはろくなことが起こらない。私は社会において何の役にも立っていない。みんなから嫌われている感じがするとか、本当に早く消え去りたいと思っていた」と打ち明け、さらには「とりあえずめちゃくちゃ泣いたり、あまり良くないけど、お酒をすごく飲んだりしてしまう時期もあった」とも。とにかくネガティブ思考になっていたと告白します。

東京むさしのクリニックの橋本将吉院長によると、うつ病になりやすい人には共通点があり、それは「性格がいい人」。「性格が良くて断われない、人を傷つけないように考えてしまう。他にも真面目で繊細だとどうしてもきちんとやらなくてはいけない、でないと人に迷惑をかけてしまう。そういう思考がうつ病になりやすい」と言います。

現在は、通院こそしているものの、精神状態は安定しているという小林さん。今回の大坂選手の報道については「勇気ある告白をしてくれた」と感謝。うつ病を告白することはとても大変ですが「私は病気のことをみんなに言い、うつ病の人が近くにいれば、偏見みたいなものも取れていけると思う。スーパースターの告白は、同じ病気の人にとってはすごく勇気づけられる」と話していました。

◆うつ病のサイン、うつ病を患う人への対応は?

小林さんの取材をした田中は「話してみても明るく、言われないとうつ病であることはわからない」と印象を語り、「うつ病の人が近くにいるということを誰もが認識しなければいけない」と注意を促します。

岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんは、大学時代に心理学を専攻していたものの、専門は実験心理。そのため、うつは授業で学んだ程度で「心の問題は外から見えるものではないし、ここが痛いと伝えるのも難しいのでなかなか理解できない、そこが難しいところ」と言います。

日本におけるうつ病など気分障害を患った方の推移を見ると、1996年から2017年の20年で約3倍に増加。生涯のうちに100人中およそ6人がうつを経験するとも言われています。

働き方も大きく変化し、さらにはコロナも相まり、とても難しい環境にありますが、どうすれば緩和できるのか。鈴木さんは「緩和はなかなか難しい」と明言した上で、「うつの傾向が出やすい世の中になった反面、うつ病という言葉が知られていけばいくほど、それに当てはまる人も増える。言葉が先行しているところもある」と指摘。そして、「授業でもあったが、うつは診断できる病名ではなく傾向だという意識がすごく大事。誰もがそういう傾向を持っていることを知っておくといい」と主張し、さらには「薬に頼ればいいというものでもない。カウンセラーと話し、自分のなかで波を捉えた上で、適切な治療・対応にあたるのが大事」と訴えます。

ちなみに、うつ病のサインは「表情が暗い」、「涙もろくなった」、「反応が遅い」、「飲酒量が増える」などがあり、身近な人にそのサインを感じたときにはどんな対応をするべきなのか。

田中が小林さんから伺ったところでは、「まずは普通に声をかけてほしい。コミュニケーションをとってくれることで救われる部分がある」と語っていたことを紹介。鈴木さんも周りが気づいてあげることが重要とした上で、「気分が落ち込むほうばかりが意識されるが、(気分が)上がることも、うつの傾向の1つだったりするので、その辺りも周りが気づいてあげることが大事」と注意喚起します。

最後に、うつ病を患っている人への対応を紹介。できることとしては「話を聞くこと」や「窓口への相談を促すこと」。逆に避けるべきことは、「原因探しをしない」、「励まさない」、「無理に特別なことをしない」といったことだそうです。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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