あきる野 新米農家奮闘記
(福祉・教育 - 2015年6月5日 20時34分)
今夜の特集はあきる野市で今月独り立ちした新米農家の男性をご紹介します。男性は元サラリーマン。まったくの未経験で農業の世界に飛び込みました。
あきる野市で農業を営む工藤健一さん。今月、農家として独り立ちしたばかりです。工藤さんは「(以前は)会社員で、勤め先は八王子だった。営業で、1つの仕事が始まると終わるまでは時間の融通が利かない仕事だった」と話します。3年前まで、会社員として忙しい日々を送っていた工藤さん。家族との時間を大切にしたいと考えていたとき、農協に務めている妻の勧めで農業に関心をもち、あきる野市が昨年度から始めた「新規就農者支援制度」に応募しました。
この制度は新たに農業を始める人に50万円まで補助金を支給するものです。あきる野市農林課の和田達也さんは「自分がどうしていきたいかをプレゼンテーションしてもらい、その内容について補助金を支払う。(補助対象)枠、枷がない事業」だと話します。市が事業を始めた背景には農家の高齢化や直売所の売り上げの低下、使われないまま残されている農地の問題があります。市内の農家の半数は70代以上。後継者がいないなどの理由で使われていない遊休農地は東京ドームおよそ12個分の54万平方メートルに上ります。
全国的に新しく農業を始める人を増やそうという動きがあるなか、水田が多い地方とは違い東京は新規就農が難しいといいます。和田さんは「水田はある程度作業が機械化されていて入りやすい業態だと思う。東京は水田より畑が多い。畑は作物によって手入れ方法や機械が違うので非常に入ってくるのが難しい地域」と話します。補助金を支給し、整備を支援することで新規就農者を増やそうという取り組みに応募してきたのが工藤さんでした。
工藤さんは市内の先輩農家のもとで2年間研修を行い、晴れて今月、独り立ちしました。工藤さんは「もう不安だらけ。研修中はわくわく感があったが、実際に独り立ちしたらほんとに野菜が育つのかとか、ほんとうに心配で心配で」と話しました。初めて持つ自分の畑。最初に植えたのはナスとピーマン、それにトマトです。当面の目標を尋ねてみると「しっかり野菜をつくってちゃんとしたものを出荷する」と答えました。家族や笹本さん、あきる野市のサポートを受けながら新米農家として走り出した工藤さん。地元の直売所に野菜が並ぶその日まで奮闘は続きます。