都東部5区 水害時の避難先 首都高を利用へ/第2回都議会定例会
都政 - 2023年6月6日 20時05分
大規模水害が起きるとほぼ全域が浸水する東京東部の5区で首都高速道路などを住民の緊急避難先として利用する 協定が結ばれていたことがわかりました。
23区東部にある墨田・江東・足立・葛飾・江戸川の5区では、海抜0メートル地域が広がっているため大規模な水害が発生した際、ほぼ全域での浸水が想定されています。このため早い段階で、周辺自治体に逃げる「広域避難」を原則としていますが、このほど新たな避難方法に関する協定が結ばれました。都の関係者によりますと、警戒レベル5の「緊急安全確保」の情報が出された場合に、住民が首都高などを緊急避難先として「垂直避難」できるようにするもので、4月下旬に都と5つの区の間で締結されたということです。高速道路に避難した住民は、速やかに大型バスで浸水区域外へ運ぶ方針です。この協定に江戸川区の斉藤区長は…
江戸川区斉藤区長:「7割がゼロメートル地帯ということは、そこに50万人が住んでいます。」「どういう人が対象になって、どれくらいのキャパがあるのか、より実効性を求めていくにはどうしたらいいかというのが、これからになりますが、江戸川区としては、大変ありがたい話」
また、小池知事もきょう(6日)開かれた都議会の定例会で身の安全の確保に繋げると連携していくことを強調しました。
小池知事:「本格的な出水期を前に大規模水害時に高速道路の高架部を避難先の最後の砦として一時的に利用できるようにした。東部低地帯の5つの区や関係機関と連携しながら備えを強化し、確実に身の安全の確保に繋げる」
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大規模な水害が発生した場合の新たな避難方法について、詳しく見ていきます。
新たな避難の対象となるのは、こちらの足立・葛飾・墨田・江戸川・江東の5つの区になります。こちらの5区はほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯で、水色以外のエリアは、50センチ以上浸水し、濃いピンクのエリアは、10メートル以上浸水するエリアと想定されています。この想定は、荒川と江戸川が氾濫した場合を想定したものですが、高潮による被害でも、全域が浸水する恐れがあります。
こうしたことにより5つの区では、災害発生が予測される72時間前から、対応を共同で検討し、48時間前から、区域外への広域避難を呼び掛けることにしています。この前提があった上で、避難ができなかった人のために今回、高速道路への避難が新たに用意されました。
避難のイメージとしては、まず区から警戒レベル5の「緊急安全確保」が発出されると、東京都が、高速道路会社に通行止めなどの協力を要請し、区が住民を高速道路へと誘導します。避難先となるのは、首都高と京葉道路の出入り口約20カ所で、災害時の緊急車両の通行を妨げないため、避難場所は「付加車線」と呼ばれる高速道路の本線に合流する際に加速したり、降りる際に減速したりする場所になります。そして、避難してきた住民を大型バスなどで浸水していない安全な区域外へ運ぶ方針です。
松井学さん⇒津波の災害地を取材した際、もしもの時にどこへ逃げるかで高速道路だったりします。選択肢として有効かと考えます。
そしてきょう(6日)は都議会が開会されました。災害対策以外にもさまざまな政策について議論されます。
まずはこちら…提出された補正予算案を見ていきます。一般会計の総額は2219億円で、その約9割を新型コロナ対策が占めました。コロナ相談センターや病床確保のための予算で、新型コロナの5類への移行もあり、昨年度の3559億円から約500億円ほど減りました。その他には燃料費の高騰や物価高を受け、都民生活の支援に93億円。企業支援に102億円があてられています。
松井さん⇒新型コロナの感染状況は落ち着いていますが、都の対応はまだまだ必要ですね。
またきょう知事の所信表明では、他にも今後、進める予定の政策の中身が明らかとなりました。まずは…高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らせるようにするための計画…「次期高齢者福祉計画」です。デジタル技術で体調管理や病気の兆候を察知して健康づくりに活かすことや増加する単身高齢者のため、区市町村が行う地域と繋がる居場所作りの支援などが盛り込まれる予定です。また子育て支援としてはすでに都営大江戸線の上野御徒町駅で始まっている授乳室の設置やベビーカーのレンタル事業を都内で展開し、お湯がなくてもそのまま飲める液体ミルクの販売も新たに始めるということです。さらに有楽町の施設内にスタートアップ企業の支援拠点をプレオープンするという計画が発表されています。
松井さんは今回の都議会、どんな点に注目していますか?
松井学さん⇒自民公明が選挙協力を解消した 都議会での動きを注視
都議会は今月13日、来週火曜日に代表質問が行われる予定です。