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上野動物園のパンダ「リーリー」と「シンシン」お別れで大行列 29日に中国へ返還へ

都政 - 2024年9月27日 20時00分
東京・上野動物園のジャイアントパンダ「リーリー」と「シンシン」が9月29日に中国へと返還されます。「シャンシャン」や双子パンダを産み、13年間にわたって日本中にパンダフィーバーを起こしてきた2頭にお別れを言おうと、連日多くの人が動物園を訪れています。

上野動物園のパンダの観覧エリアでは27日も、雨が降り続く中、およそ3時間待ちの行列ができていました。訪れたパンダファンは「あすがいよいよお別れだから寂しい。これはリーリーとシンシンの来た当時のグッズ。これを持っている人はなかなかいないんですよ」「中国でも元気でいてもらえれば。仕事でつらい時もあの丸いフォルムを見るだけですごく癒やされていた」などと話していました。

リーリーとシンシンが日本にやってきたのは2011年2月のことでした。パンダが上野動物園にやって来たのはおよそ3年ぶりで、街全体が歓迎ムードに包まれました。当時からパンダの招致活動を進めていた上野観光連盟の二木忠男名誉会長・パンダ専任大使は、今も当時のことを鮮明に覚えています。二木さんは「来園の時は久しぶりにパンダが来るということで、すごいフィーバーだった。だからパンダをモチーフにした商品を売ったりキャンペーンをしたり旗を作ったり、商店街ではいろいろ行った」といいます。また二木さんは、来日からわずか18日後に東日本大震災が発生した中でも、リーリーとシンシンが被災地と上野の街をつなぎ、癒やしを届けてくれたとして「岩手とか仙台とかの子どもたちに癒やしを与えた。上野は東北の玄関口ですから。子どもたちに上野動物園へとパンダを見に来てもらった」と当時を振り返りました。

そして、その6年後には待望の赤ちゃんとなるシャンシャンも誕生します。“母と娘”のお茶目なやりとりの様子はさまざまなメディアやSNSで拡散され、パンダが初めて来日した1972年以来のパンダブームを巻き起こしました。さらに4年後には双子パンダも誕生し、すくすく育っていく2頭のじゃれ合う姿や見守る母親のシンシンの様子が日本中に癒やしを届けました。しかし去年=2023年、中国との協定により、シャンシャンは一足先に中国に返還されます。シャンシャンとのお別れの日には、動物園の周辺にファンが詰めかけ、涙を流して見送る人の姿もありました。

3頭の子どもを産み、13年にわたって日本中に元気と癒やしを届けてきたリーリーとシンシンももう19歳になりました。これは人間では60歳ほどに相当する年齢で、おととし=2022年からは高血圧などの症状も出始めたことから、9月29日についに中国に帰ります。上野観光連盟の二木さんは「これだけ癒やされる動物はいない。13年間、リーリー・シンシンが支えてきたわけですから、これは上野の歴史にとって大事な部分。経済波及効果も大きいし、街にとって癒やされる存在だから大事なもの。私どもにとっては宝のような存在だった」と別れを惜しみました。

<“日中友好シンボル” リーリーとシンシン返還へ>

ジャイアントパンダのリーリーとシンシン、そして3頭の子どもたちは癒やしの存在というだけでなく、日中友好のシンボルとしても大切な役割を担ってきました。パンダ来日のきっかけは1972年の「日中国交正常化」です。現在、日中関係が冷え込みを見せているといわれる中で「パンダ外交」が担う役割も大きいのかもしれません。

シンシンとリーリーを見る最後のチャンスとなる28日の公開時間は午前10時半から午後3時半までで、2頭は29日に中国へと向けて出発する予定です。

都政