墨田区版“赤ちゃんポスト”小池知事「赤ちゃん守る態勢が必要」
都政 - 2023年9月29日 20時00分
「赤ちゃんポスト」の設置方針に小池知事も言及です。墨田区の病院がいわゆる「赤ちゃんポスト」の設置準備を進めていることについて小池知事は、「赤ちゃんを守る態勢作りが必要だ」という認識を示しました。
墨田区の「賛育会」病院は、親が育てられない乳幼児を匿名でも受け入れるいわゆる「赤ちゃんポスト」の設置や、病院だけに身元を明かして出産する「内密出産」を来年度から実施する計画を表明しています。この計画についてきょう(29日)の定例会見で小池知事は、墨田区と連携しながら、病院側に詳細な説明を求めている段階であると明らかにしました。そのうえで現在、全国で唯一、「赤ちゃんポスト」を行っている熊本の病院とは違う形を考えなければいけないと指摘しました。
小池知事:「東京は人が集まるところでもあります、そういう意味でこういう場所ができますと」「東京を目指すようなこともあるのではないか、そのあとどうしますかとという事も想定して準備もしなければならない、詳細はこれからの計画を伺いながら地元、区とも連携して預かる赤ちゃんをどういう風に守っていくのかその態勢をしっかりと整えないといけなくなると思われます」
赤ちゃんポストの設置計画について、墨田区民は…
「マイナスのイメージはとくにないです」「本当にどうしようもなくて困ってる人だったら」「言ったらなんですけど殺さなくて住むんだったらそれはいいことなんじゃないかなと個人的には思ってます」
「賛成です」「公衆トイレかなんかで産んじゃって子どもをそのまま捨てちゃうとかそういう事件もあるじゃないですかそういうことがないようにするにはやっぱりああいう熊本にあるようなのが東京にもあったらいいなあと思ってた」
一方で、設置に理解を示しつつも、複雑な思いを語る人も…
「理解できないところもありますね今の人の考えが」「お互いに尊重しながらね子どもを産むっていうことも大事じゃないかなと思いますよ」「ちょっと軽率になってる部分もありますよね人間として」
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ここからは都内でのいわゆる「赤ちゃんポスト」の設置に向けた動きを取材する記者の椿原さんとお伝えします。墨田区で来年度の開設を目指すということでしたが、東京都や区市町村との連携は、どういう形を想定しているんでしょうか?
赤ちゃんポストの設置を目指す賛育会病院では、預けられた赤ちゃんの身元が分からなかった場合、それぞれこういった役割を担うことを想定しています。病院は、赤ちゃんを一時保護したあとに児童相談所と警察に連絡します。そして国は生まれた場所となる自治体が戸籍を作るよう定めていますので、区が戸籍を作ることになります。
都の管轄である児童相談所は、乳児院や里親への委託を行います。赤ちゃんを守るために、それぞれの役割を果たすことが必要となりますので、連携の強化が求められることになると思います。国内で唯一、赤ちゃんポストを設置している熊本県の慈恵病院を今年4月に取材したんですが、設置された2007年に熊本市長だった幸山さんは、設置にあたって「許可の先」が大切だと指摘しています。
「ゆりかごが許可しました、できました、それですべてがバラ色かというと決してそうではないということですよね。そこから先がとても大事なんだというようなそこも含めた覚悟を持つということが大事なんだろうという風に思います」
預かった赤ちゃんをどうやって育て、見守っていくのか、行政もしっかりと向き合う必要がありそうです。
都内での赤ちゃんポストの設置は先に江東区でも計画が持ち上がっていましたがどうなっているんでしょうか。江東区では、去年9月に医療法人社団「モルゲンロート」が計画を発表しました。今年5月には江東区に担当窓口を設置するよう求めましたしたが、区からの回答は現時点でまだ得られていないということで設置に向けた進捗が見られていない状況です。
また法人は、当初豊洲か青海での開設を予定していたんですが、場所を変更して、来年秋の開設を目指しているということです。江東区の木村区長は赤ちゃんポストの設置を掲げて4月の区長選を戦い、当選していましたが、今のところ設置に向けて大きな前進はみられないようです。