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堀潤が現地取材 柏崎刈羽原発再稼働問題…地元住民の思いは

その他 - 2025年12月15日 21時00分
新潟県の花角知事が東京電力・柏崎刈羽原子力原子力発電所の6号機・7号機の再稼働について“容認”を表明したことで、新潟県議会でも議論が交わされようとしています。これは“電源立地”新潟県の問題だけではなく、その最大の電力消費地・東京の生活を支えるものであり、東京こそこの問題に向き合わなければなりません。原発立地自治体・新潟の地元の人の思いを、TOKYO MX『堀潤Live Junction』キャスターでジャーナリストの堀潤が現地で取材しました。

柏崎刈羽原発は日本海沿いの新潟県柏崎市と刈羽村にまたがり、総敷地面積は福島第1原発より広いおよそ420万平方メートルと広大です。7号機まである原子炉はかつて「世界最大級の出力」を誇っていました。しかし東日本大震災による福島での原発事故をきっかけに全ての原子炉は停止し、東京電力はこれまで“原子力発電なし”で電力を賄ってきました。

あれから15年となる中、再稼働の必要性についてTOKYO MXの取材に対し、東京電力は文書で「今後データセンターなど右肩上がりで増加していく電力需要に対して、カーボンニュートラル、安定供給を実現していくためには原子力発電は必要であると考えております」と回答しました。

11月に新潟県の花角知事が6号機と7号機の再稼働を容認し、高市首相も12月10日の国会で、企業を誘致する際の立地競争力や家計の負担を考慮した上で「極めて重要なことだ」と強調しました。また、12月1日に柏崎刈羽原発を視察した経団連の筒井会長も「安全確保に取り組む姿勢が印象的だった。再稼働を着実なものとしていただきたい」としました。

国や経済界が後押しする中、再稼働に必要とされるのは「地元の同意」です。原発が再稼動するかもしれないということで、地元の受け止めを聞いてみると「しょうがないと思う。万歳して賛成はしないが、しょうがない。運転するんだったらしてもらっても。東京だけいいなと思ったこともないし複雑」(地元住民・86)といった声や「(十数年止まっていて、街の景色・活気は)変わってしまった。大きい建物もお店もなくなるし、私は困っている。(夜のにぎわいも、今は)全然。柏崎がもっとにぎやかになってほしい」(柏崎市民)といった声も聞かれました。その一方で「住民にとっては安全な方がいい」(柏崎市民)、「心配といえば心配。でもどうしようもない。津波警報が出ると逃げる場所がないし、どこまで逃げていいか分からない」(柏崎市民・50代女性)といった声も聞かれました。

花角知事はいま開かれている新潟県議会で自らの判断の「信を問う」としていて、原発を再稼働した場合に国から交付されるおよそ3100万円を財源とした補正予算案を提出しています。この中には原発の安全対策に関する広報費用などが盛り込まれています。県議会では単独過半数を占める自民党がすでに知事の判断を信任する方針を決めているため、知事としては議会の「同意」が得られる公算となっています。一方、再稼働に反対する会派が不信任決議案の提出を模索する動きもあるということです。

柏崎刈羽原発の建設工事に携わり、現在も会社の売り上げのおよそ4割が原発関連という地元企業・品田電業社は、この再稼動を前向きに捉えています。堀が「知事も再稼動を検討している中、長らく支えてきた品田さんはどう思うか」と尋ねると、品田史夫代表取締役は「地域で仕事をしている企業の1人としては、発電所の再稼動のめどが立ってきたことは非常に喜ばしいこと。一定程度、原発に関わらないと安価で安定したエネルギー供給ができないというところはあるので」とした上で「震災については多くの人に苦労をかけた、不便な思いをした人もいるが、日本のエネルギー事情全体、日本全体の経済を考えた時、原発は大切なこと。経済との整合性、日本全体の皆さんの生活、電気料金を含めて、合わせて考えないといけない」と話しました。

一方で「柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会」の品田善司会長は、原発の安全対策などの透明性を確保するため、月に1度、東京電力や関連自治体と定例会を実施しているといいます。品田善司会長は「もっと早く再稼働してもよかった」とする一方で、避難路の理解を浸透させるのが課題だと話します。品田善司会長は「実際問題、避難計画はあるが、避難計画をどの程度理解している人がいるのかという問題もある。きちんと理解してもらうような努力はこれから必要」といいます。堀が「そこは会としても品田さんとしてもジレンマを感じているのか」と尋ねると、品田善司会長は「もちろんそうです。年に何回か避難訓練があるが、参加者でも理解している人が多くない。きちんと理解してほしいと感じる」と語りました。

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