「議員定数の削減」外国人はどう見る?【TOKYO LENS】
その他 - 2025年12月6日 20時00分
TOKYO LENSです。日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか。中国出身の報道部・曹蒙記者が、世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。
今回取材したテーマは「議員定数削減」です。自民党と日本維新の会は先週、現在465人の衆議院議員定数に関し、「420人を超えない範囲で、1割を目標に削減する」との考え方を共有しました。東京を訪れる外国人は「議員定数削減」についてどう思うのか、そして自国の状況も聞きました。
曹:「日本では衆議院の議席を削減する動きがありますが、これについてどう思いますか?」
ロシアから:「国民を代表する人が少ないと、小さい声が届きにくくなったり、無視されたりすることがあると思うので、議員の数を減らすのはあまり良いことではないかもしれません」
ベルギーから:「お金を節約できるという意味では良いアイデアかもしれません。ただし、国全体を代表できるだけの声がちゃんと国会に残ることが前提です。誰かが取り残されたように感じてしまうのは避けたいです」
アメリカから:「多様な意見を代表するには政治家は多い方がいいと思う。同じ州の中でも都市ごとに経済や生活レベルが違いますし、たくさんの人たちの声を反映するには議員が多い方が良いと思います」
スペインから:「それが私たちにとって本質的な問題かというと違うと思います。議員定数の削減は『見せかけ』で、本当の問題から目をそらすもの、票を取るためのパフォーマンスにすぎないのでは」
日本の衆院にあたる各国の下院議員数を人口100万人当たりで換算すると、日本は3.78人となります。これはG7の中で2番目に少ない数字です。トップはイギリスの9.34人で、日本の倍以上となっています。イギリスから来た人は――
曹:「あなたの国はどんな状況ですか?議員削減の議論がありますか?」
イギリスから:「日本よりはるかに多くの政治家がいるのは確かです」
「私も政治家が多すぎると思います。多くの政府には腐敗があるし、イギリスも例外ではありません。政治家を減らすことで改善される可能性もあるかもしれません。試す価値はあると思います」
一方で、人口がおよそ15億人で、下院議員数が544人のインドは100万人当たりに換算すると、0.37人と日本よりかなり少ない数字となっています。インドから訪れた人は――
インドから:「インドの人口は現在世界一で、中国を超えています。負担が大きい可能性があります。その点を考えると、議席数を増やすという選択肢は良いかもしれません。若い政治家が参入する機会にもなりますし、新しい時代にふさわしい視点で問題を理解し、新しい発想で取り組めるようになります。だから、人口に応じて議席数を増やすというのは良い考えだと思います」
G7の中で近年議員の定数を大幅に削減した国も…イタリアでは2020年に下院の議席定数は630から400に減らし、さらに上院でも315から200に減らしていて、全体でおよそ4割削減しました。
イタリアから来た人はその効果について――
「2020年に議席数が300人くらい減りました」
「今のところは何も変わっていないように感じます。もっといろいろなことを変えないといけないと思います。まだこれからですね」
曹:「議員数削減のメリットとして『意思決定が早くなる』ことがよく言われますが、実際にはどうでしたか?」
「早くなったとは思いません。今でも物事を決めるのにはすごく時間がかかります」
(2025年11月26日「Wake Up 7」より)