富士急ハイランドが安全対策を強化 「高飛車」はポニーテール・ピアス禁止
事件・事故 - 2021年11月5日 21時00分
新宿から直行バスも出ていて東京に住む人にも人気の遊園地「富士急ハイランド」のジェットコースターで事故が相次いだことを受けて設置された第三者委員会の中間報告がされて改善点が指摘されました。
世界ナンバーワンコースターでけが人が相次ぎました。「ド・ドドンパ」はスタート直後1.56秒で時速180キロまで加速するスピードが世界一という人気のジェットコースターです。急加速するため、富士急ハイランドでは乗車時には頭を座席の枕に付けて背筋を伸ばすよう案内していました。しかし2020年12月から2021年8月までの期間中、このコースターの利用客6人が頸椎(けいつい)骨折などのけがをしたという報告が相次ぎました。富士急側はけがをした利用者の聞き取り調査などから、けがをしやすい前傾姿勢など乗車姿勢に問題があったと主張しています。
事故の原因究明はまだ続いていて、国土交通省の事故調査部会などが調査に当たっています。富士急側は調査に「全力で協力していきたい」とする一方、独自に再発防止のための第三者委員会を設置しました。運行マニュアルを確認したりスタッフからの聞き取り調査を行った結果、中間報告では「設備の点検などに不備はなかった」と判断されました。その一方で、整備さえしていれば安全だという考え方から「利用客への注意喚起が不十分だった」として、注意喚起の方法に改善の余地があると指摘されました。例えば、コースターに並んでいる間には注意喚起の映像を流していましたが、並んでいる人の中にはきちんと聞いていない場合もあったようです。こうした第三者委員会の指摘を受け、富士急ハイランドでは幾つかの安全対策がスタートしました。
「FUJIYAMA」「高飛車」「ええじゃないか」「そらたびにっき」の4つの人気コースターの点検を進めた結果、しっかりと安全な乗り方を利用客に伝えるため、次に自分が乗るタイミングで「安全プレショー」としてスタッフがパネルを使って楽しく説明するよう改善しました。せっかくの楽しい気分に水を差さないようにショーアップする工夫もしています。また「高飛車」と「ええじゃないか」の2つはポニーテールの髪形が禁止になります。この2つは乗車中にヘッドレストに頭を押し付けることを徹底することにしたためで、ポニーテール以外にも頭を押し付けることができない髪形はほどいてもらうということです。そして「高飛車」ではピアスも禁止です。「高飛車」は横揺れが激しいので、ハーネスが当たって出血する恐れがあり、外してもらうことにしました。
富士急ハイランドの事故を受けて他の遊園地でも安全意識が高まっています。東京都内にあるよみうりランドや浅草花やしきでも、従業員に安全管理の徹底を呼び掛けています。
そして、富士急の第三者委員会で指摘された重要なことがあります。それは「遊園地側の対策だけでは限界があり、リスクを下げるためには利用者も協力する必要がある」ということです。安全に遊園地を楽しむためには、私たち利用者も“安全第一”を心に留め、危険を減らす努力をして遊園地の安全管理に協力するという姿勢が必要です。