男児死亡のオブジェ火災 罰金50万円の判決/Fire at objet d'art causes death of a boy, 500,000 yen fine.
事件・事故 - 2024年3月5日 20時00分
2016年に起きた明治神宮外苑のイベント会場でオブジェが燃えて男の子が死亡した火災をめぐり、罪に問われた元大学生2人の裁判が開かれ、東京簡易裁判所はそれぞれに罰金50万円の判決を言い渡しました。
2016年11月、明治神宮外苑のイベント会場で日本工業大学の元男子大学生2人が、設置した木製のオブジェに白熱電球を放置したため火災が起き、当時5歳の男の子が死亡し、助けようとした父親が大けがをしました。この事故で罪に問われた元男子大学生の2人は、火災を予見できなかったとして無罪を主張していましたが、1審の東京地裁では2人に禁固10カ月執行猶予3年の判決を下しました。しかし2審の東京高裁は、重過失の認定は困難だとして、1審判決を破棄し、簡易裁判所に審理を移していました。
そしてきょう(5日)の判決で三神裁判官は「教員からの適切な指導が不足しており、2人だけを強く非難するのは相当とは言えない」「損害賠償の訴訟で和解が成立している」などと指摘。求刑通りそれぞれ罰金50万円の判決を言い渡しました。
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明治神宮外苑の火災をめぐる裁判は、裁判がやり直しとなるなど複雑な経緯をたどりました。
2016年、明治神宮外苑のイベント会場で木製のオブジェが燃えて当時5歳の男の子が死亡した事故で、火災の原因は当時、日本工業大学の学生だった2人が設置した白熱電球でした。電球が点灯した状態で放置された結果、オブジェ内の木くずと接触し、火災が起きました。そして2019年8月、東京地検は2人を在宅起訴し、翌年に行なわれた初公判で元学生の2人は「白熱電球の熱で作品内から発火するとは考えられられなかった」として無罪を主張しました。そして2021年、東京地裁は2人に対し、禁錮10カ月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しましたが…翌年、東京高裁は2人が「火災を予見できたと認定」した上で、2人は作品展示や監視の責任者ではなく、白熱電球の危険性に関する説明を受けていなかったことなどを踏まえ、重過失の認定は難しいと判断し、1審判決を破棄して簡易裁判所に審理を移しました。そしてきょう(5日)のやり直し裁判では元学生の2人に対し、「教員からの適切な指導が不足しており、2人だけを強く非難するのは相当とは言えない」などして罰金50万円の判決が言い渡されました。
一方、亡くなった男の子の両親と大学側の間では2020年に和解が成立しています。きょう(5日)男の子の両親は代理人を通じて、「息子は生きていれば今年の春から中学生になっているはずでした。判決で過失が認められたことに安堵しています。事故に真摯に向き合ってくれることを望むばかりです」とコメントしています。