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病状に合わせて提供する“病院給食”が物価高騰の影響で赤字に…必要なものは?

福祉・教育 - 2025年11月5日 15時30分
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜20:00~)。TOKYO MXの報道記者が注目したニュースを深掘り・生解説する「ツイセキシャ」のコーナーでは、病状に合わせて栄養バランスを調整し提供する「病院給食」に着目しました。

症状が変化しやすい急性期の患者が多く入院する東京・江戸川区の江戸川病院。1日3食合わせておよそ900食の病院給食を提供していますが、年間の赤字額は食材費と管理費だけでおよそ7300万円に上ります。食材を変更するなどして物価高騰への対策をしていますが、対応には限界があるといいます。さらに患者一人一人の病状に合わせた献立作成など業務量の多さや労働の過酷さから離職率も高くなっていて、管理栄養士や調理員などの人材不足も課題となっています。

食材費や人件費の高騰により昨年度赤字となった公立病院の割合は83.3%で、21年度から年々増加しています。赤字の要因の一つとなっている病院給食の現状を変えようと、今年8月には大阪・関西万博でシンポジウムも開かれました。万博で演説した帝塚山大学の河合洋見名誉教授はこれからの病院給食には新しい方法を導入していくことが必要だといいます。

河合名誉教授「答えは1つしかない。(完全)調理済み食品を使うしかない」

「完全調理済み食品」とは調理工程がすべて完了していて加熱するだけで提供することができる食品です。

河合名誉教授「合理的にオペレーションを組むためには冷凍食品が一番理想だと私は思っている。食品のロスはないし、在庫管理をきちんとしていけば日持ちもする。やり方を変えない限り、持続可能な病院給食は成立しないと思う」

この「完全調理済み食品」を3年前から導入している都内の病院を訪ねました。1日およそ1000食の病院給食を提供しているタムスさくら病院江戸川では導入で早朝の作業時間の短縮など労働環境が改善され、離職対策につながっただけではなく、資格がない人も雇用できるようになり、人材確保の面でも効果があるといいます。

管理栄養士「在庫の管理や調理業務といったスキルを要するような業務も省略化できた。その部分は非常に大きかったと思う」

一方で完全調理済み食品の導入には課題も残っています。

管理栄養士「調理済み食品だとある程度統一化された食事内容になる。個別管理には困難さを感じることもある」

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