“全国初”専門外来を新設 スマホ使い過ぎで…物忘れなどリスク増の恐れ
福祉・教育 - 2025年6月25日 19時00分
現代人の生活に欠かせないスマートフォンですが、このスマホに関連した日本で初めてという専門外来「スマホ認知症外来」が新設されました。
スマホ認知症外来は東京・葛飾区の金町駅前脳神経内科に開設されたもので、「スマホなどデジタルデバイスの使い過ぎによる一時的な記憶障害に特化した外来」ということです。内野勝行医師は「1000万人弱ぐらいは『スマホ認知症』の予備軍になるというのも言い過ぎではない」といいます。
総務省が男女1500人を対象に行った2023年の調査によりますと、1日当たりのスマートフォンの平均使用時間は123分で、その4年前=2019年と比べておよそ1.4倍に増えました。スマホの利用時間が増える中、専門外来を開設した内野医師は、使い過ぎが原因とみられる一時的な記憶障害の相談が増えているといいます。働き盛りの30代から40代に多く、仕事でミスが増えたり知り合いから物忘れを指摘されて自覚することが多いということです。内野医師は「だらだらと無目的に使っているスマホの時間が問題。この時間が長ければ長いほどリスクが上がる」と指摘します。
内野医師によりますと、スマホで短い動画などの流し見を長時間繰り返すと、脳が情報を処理する際に必要なドーパミンという物質の放出が追い付かなくなり、次第にスマホを見ていない時でも放出しづらくなってしまうということです。その結果、日常生活でも必要な情報を脳が処理しないまま受け流してしまう恐れがあるということです。内野医師は「スマホを悪と思ってしまってはいけない。付き合い方を上手にしてもらうこと。きちんと区切ってめりはりの付いた使い方をすることが一番大事」と話しています。
<スマホと上手な付き合いを>
スマホによる一時的な記憶障害について、内野医師が作ったチェックリストがあります。
「スマホをいつも手元にスタンバイさせている」「知っている人の名前がすぐに出てこない」「最近、漢字が書けなくなった」「覚えておくために写真を撮る」「スマホ以外で調べ物をしない」「いつも睡眠不足」「やる気が起きず興味も湧かない」「仕事や家事の段取りが悪くなった」の8項目の中で3つ以上該当すると、症状に当てはまる可能性が高いということです。
一方で認知機能に与えるメリットもあるとして「スマホはさまざまな新しい情報を得られるデバイスでもあるので、認知症になっている患者にとっては脳が活性化され、大きなメリットにもなる」と話しています。