進むデジタル化 視覚障害者の苦悩とは? “見えることが前提”の社会で必要な支援
福祉・教育 - 2026年2月2日 16時00分
東京MXの記者が注目したニュースを深堀して解説する特集企画ツイセキシャ。今回お伝えするのは「視覚障害者に必要なサポート」についてです。「全盲」や「視力が著しく低い」などの理由から視覚障害者として障害者手帳を交付されている人は国内でおよそ27万3000人、そして東京都内にもおよそ3万5000人いるのが現状です。当事者の思いを取材してきました。
およそ10年前「錐体‐杆体ジストロフィー」という網膜の病を患った藤川ゆり子さん。
【藤川さん】
「このまま何の役にも立たない人間になるんだろうかってとても絶望しました」
藤川さんは徐々に視力が低下し、6年ほど前に失明しました。
【藤川さん】
「ほとんど友達とも会わず、家の中で鬱々としていました」「ああこれは考えを変えなきゃいけないな、見えない世界に新たに生まれ変わったんだなと思ってゼロから、0歳児からやり直しをしようと思いましたね。」
「見える世界から見えない世界へ‥」
藤川さんは新宿区にある視覚障害者への情報提供などを行う日本点字図書館で点字を学び、16カ月間に及ぶ白杖での歩行訓練を受けました。そして現在・・夫が海外に単身赴任をしているため、都内で1人暮らしをする藤川さんは手の感覚を頼りとした工夫をこらし日々の生活を送っています。
【藤川さん】
「よく私間違えて失敗したのが、このお醤油とポン酢がすごい同じようなビンなんですよね。お醤油を入れたつもりでポン酢を入れることがあったりしたので、お醤油には輪ゴムついてません。そしてポン酢の方には輪ゴムつけました」
そのほかクローゼットでは手触りの違う服を仕切りにしたり、上下揃いのものは洗濯ばさみで止めたりするなど服を選びやすくしているほか、トイレのドアノブにはキーホルダーをつけその他の部屋と区別しています。また、スマートフォンにはキーボードの配置に仕切り線が引かれているフィルムを貼っています。
【藤川さん】
「文字を打つところがきっちり分かるので、触って分かる、触れて分かるというのは大変大きな事だと思います。なにしろツルっと平面というのが一番盲人にとっては苦手です」
スマートフォンを視覚情報無しに使いこなすことは容易ではなく、不便さを感じることも多いといいます。
【藤川さん】
「ニュースを得る、情報源でもあるということで、その自立した生活を送る上での大変重要なサポートツールであるということは確かだと思います。でもやはり見える人の世界というのは見えるがゆえにインパクトのある画像が出たり画がでたりしますでしょ。でも見えてないとそこはスルーされてしまうという感じで大変困りますね」
生活を豊かなものへと導くデジタル化は「見えることが前提」。そのため視覚障害者へのサポートが不可欠です。
藤川さんが使用しているスマートフォンフィルムの販売企業や、東京都では、視覚障害者向けにスマートフォンの操作などに関する相談を受け付け支援を行っています。
「(障害の有無で)人と人との距離が薄くなってはいけないと思う」「スマホで友達にメール元気だよと打てて送信って押せるだけでもそれはもう、達成感が凄いんですよね。その達成感の一つ一つ拾い集めて元気になっていくというのが、嬉しい事だなと思いました」
デジタル化が進む社会から取り残されないために・・藤川さんは「人と関わり続ける大切さ」を感じながらボランティアの点字指導にも力を注いでいます。
「私はここにいてもいいんだという居場所ができたことで点字教室は私にとって喜び」
「教えることによっても自分が成長するんだな、そして、こうやって一緒に点字を読むことによって、お互いが切磋琢磨して成長できるということがとても嬉しいというね、励みになります・・」