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「ガクチカ」がない!…学生たちのリアルな声 “学生生活がほとんどコロナ禍”

福祉・教育 - 2022年8月10日 20時30分
 就職活動を行う大学生の間で、コロナ禍だからこそ悩んでいることがあります。それが「ガクチカ」です。「ガクチカ」とは、就職活動のエントリーシートや面接などで問われる『学(ガク)生生活で力(チカら)を入れたことは何ですか?』という“定番質問”の略語です。「自分の実体験から何を感じたか」などを話す質問ですが、新型コロナウイルス感染症が流行して2年半以上となり、大学生活のほとんどをコロナ禍で過ごした学生たちはこの「ガクチカ」に悩んでいるようです。

 学生の街・新宿区高田馬場でガクチカについて話を聞いてみると「周りの学生の中にはひねり出す感じでガクチカを作り出している人もいると聞く。アルバイトも普通の体験を大げさに書いたりしていると聞く」(大学3年生)、「書けることがないと悩んでいる先輩の話はよく聞く。ガクチカの経験のために1年間休学するという先輩もいる」(大学2年生)、「サークルの代表をやって、それをガクチカに書いていければと思っているが、他に思うように活動できなかった人は悩んでいるだろうなと思う」(休学中の大学4年生)などといった声も聞かれ、やはりコロナ禍で「ガクチカに困っている」という声が多く聞かれました。さらに学生からは「コロナ禍で自粛を求められるのに結局、企業はアクティブな学生を求めている。これは不平等では?」という意見もありました。

 こういった現状でも、新たな発想でガクチカを作り出している大学生もいます。東京大学3年生の安田紳太郎さんはコロナ禍によって、学生生活で一番楽しみにしていた留学の機会を奪われました。安田さんは「1年生の時から楽しみにしていた留学だったのですごく悲しくて、1週間ぐらい落ち込んでいた」と振り返ります。しかし安田さんはこの悲しみをきっかけに、新たなガクチカを見つけ出しました。安田さんは「僕がドイツとフランスの留学がなくなって悲しんでいた時、悲しんでいるのは自分だけではない、世界中の学生が同じような国際交流の機会を奪われて悲しんでいるんだろうなと思った」と気付いたといいます。そして安田さんは2020年7月、世界中の学生がオンラインで交流できる国際交流団体「GERNE(ゲルネ)」を立ち上げました。

 GERNEではオンライン交流イベントを開催し、これまでに世界20カ国以上・300人以上の学生が参加しています。安田さんは「例えばある回では、世界中の『日本に関心のある学生』が参加した。テーマとして『日本の文化について気軽に話そう』と、漫画や映画の話をした」と話しました。そして、留学に行けない悔しさから生まれたこの活動が今の就職活動でも役立っているとして「『学生時代に頑張ったことは何ですか?』と聞かれた時、自信を持ってこのエピソードを話せるので、その点で役立っている」と話してくれました。

 学生と接する機会も多い慶応大学教授の小林慶一郎さん(政府・新型コロナ対策分科会メンバー)にも、ガクチカに悩む学生たちにアドバイスをもらいました。ぜひ動画でご覧ください。

 自由の利かない今だからこそ経験できることや感じることが必ずあるはずです。気負わず、素直な経験や思いをガクチカにぶつけてみてください。

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