練馬で39.3℃も… 暑さから避難する「クーリングシェルター」利用を/Evacuation from Extreme Heat Use of Cooling Shelters
福祉・教育 - 2024年7月29日 20時00分
東京・練馬区では40℃に迫る暑さになるなど、7月29日の都内各地は今年一番の暑さとなりました。各自治体では熱中症にならないよう、暑さから避難するための「クーリングシェルター」の積極的な利用を呼びかけています。
この日、都内は猛烈な暑さとなり、最高気温は八王子と青梅で38.7℃、羽田で37.5℃、都心で37.3℃と、各地で今年一番の暑さとなりました。さらに練馬の最高気温は都内で最も高い39.3℃に達し、40℃に迫る危険な暑さとなりました。この暑さに、日中の練馬駅前では日傘で暑さをしのいだり、信号待ちの際には日陰で待ったりする人の姿も見られました。練馬の街で話を聞くと「暑くて参っている。体が焼ける感じ」「汗がひかないぐらい暑い。運動しているともうどうしようもなくなる」「経験したことがないぐらい暑い。いつまで続くんだろうと思う。室外機の外にずっといる感じ」などと話す人もいました。
東京消防庁によりますと都内では29日(午後3時まで)に10代から90代の合わせて88人が熱中症の疑いで救急搬送され、70代の男性1人が命に危険が及ぶ「重篤」の状態となっています。
猛暑が続く中、熱中症への対策として各自治体が進めているのが、施設を開放するクーリングシェルターの取り組みです。墨田区では区役所など区内34カ所の公共施設などを誰でも“ひと涼み”できるように開放しています。区役所をクーリングシェルターとして利用した親子は「外が暑過ぎるので(普段は)コンビニやスーパーに寄り道しながら、ちょっと申し訳ないという気持ちでコンビニに入っていた。子どもはあまり長時間外に出られないので利用したい。ここなら授乳室や自動販売機もあるので寄りやすい」と話していました。また、民間と連携した取り組みも始まっています。墨田区は薬剤師会と協力して区内35カ所の薬局を、薬局として利用しない人でも誰でも休憩できる「ひと涼みスポット」としています。この薬局の担当者は「自宅に帰る前に休むところがない人もいる。気軽に一時避難所として使ってもらうことで“地域に密着した薬局”として対応している」と話します。
今後も猛暑が予想される中、区の担当者は「区役所のホームページで休める場所の公開をしている。各クールリングシェルターにのぼり旗をを掲げているので、旗を目印に来てもらえれば」と話し、休憩できるスポットをより多くの人に知ってもらい、気軽に立ち寄ってもらいたいと話しています。
<“災害級暑さ”に備え クーリングシェルター活用を>
東京都内は29日も各地で猛暑日となるなど、危険な暑さとなりました。環境省では今年から災害級の暑さに備えるため「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始しました。このアラートはこれまでの「熱中症警戒アラート」より一段上の警戒を促すもので、熱中症による重大な被害が出る恐れのある場合に発表されます。基準としては、気温だけでなく湿度も考慮した熱中症の危険度を示す「暑さ指数」が各都道府県内の全ての地点で「35」以上になると各都道府県内の全域に発表されます。そしてこのアラートが出された場合には熱中症予防を目的として、自治体が指定する冷房が効いた公共施設などをクーリングシェルターとして無料で開放することが義務付けられています。
都内では1159施設がクーリングシェルターに指定されていて、特別警戒アラートが出ていない日でも無料で涼める場所として開放されている施設も多くあります。実際に「東京都防災マップ」のホームページから地図を見てみると、さまざまな場所にクーリングシェルターが設置されているのが分かります。そしてマークをクリックすると施設の場所や受け入れ可能人数、開放可能日時などが分かるようになっています。都内では1000カ所以上がクーリングシェルターに指定されているので、近くにどんな場所があるのか把握しておくのも熱中症対策の一つとなりそうです。
<日本列島は猛烈な暑さ 40℃超えも>
都内だけでなく全国的に危険な暑さが続いています。29日は栃木県の佐野で41.0℃を観測し、これまでの日本の歴代最高気温41.1℃にあと0.1℃まで迫りました。また、都内の最高気温は練馬で39.3℃、八王子と青梅で38.7℃、都心で37.3℃となり、練馬では統計開始以来2番目という記録的な暑さとなりました。
熱中症を防ぐためには休憩を小まめに取ることが大切です。その理由は、熱中症の仕組みを知ることで分かります。人は体温が上がった時、汗をかくことや体の熱を外に逃すことで体温を調節します。平常時はこうした調節機能がうまく働きますが、気温や湿度の高い環境から避難ができないと体の中の熱を外に逃すことできず、熱がどんどん体内にたまってしまい、熱中症になってしまいます。涼しい環境で体の熱を放出してあげることが重要です。
東京都心の週間予報を見てみると、8月2日ごろにかけて引き続き猛烈な暑さが続くと予想されています。涼しい部屋の中で過ごすことが一番安全ですが、外出時は水分や塩分の補給に加え、しっかり休憩を取ることも心がけてください。