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増える外国人観光客…災害情報をどう伝える? 浅草・渋谷の取り組み

地域・まち - 2025年9月5日 19時00分
TOKYO MXは今週「防災ウイーク」として、防災情報を連日お伝えしてきました。最終回となる今回は「外国人観光客が集まる観光地で災害情報どのように伝えるか」がテーマです。今年は世界陸上やデフリンピック大会の開催で、海外から東京を訪れる人もさらに増えそうです。浅草や渋谷の街で進む対策を取材しました。

都内有数の観光地・浅草雷門には、この日も多くの海外からの観光客が訪れていました。外国人観光客に災害への備えについて聞いてみると「もし何かあったらどうすればいいのかが分からない。なぜならスペイン、ヨーロッパから来た私たちには地震の経験がないから」(スペインから来た観光客)、「(日本の地震について)調べたことはなかったが、今回のインタビューを機に、万が一に備えて何をすべきか確認しておこうと思う」(カナダから来た観光客)などといった声が聞かれました。

実際に災害が起きてしまった時、どのように情報を伝えるのでしょうか。浅草観光連盟の防災担当者を取材すると「観光客に対しての訓練を、毎年3月に実施している」という情報が返ってきました。

観光連盟や台東区は東日本大震災の翌年=2012年から、災害によって公共交通機関などがストップし、観光客が帰宅困難になった場合を想定した訓練を行っています。しかし課題もあります。「一番難しいと思うのは、雷門の前や仲見世に、大勢の人がいるということ。その人たちに発災直後、どのように次の行動を伝えるか」だと観光連盟の担当者は話します。

そうした対策の一つとして、観光連盟や台東区は円滑な情報周知を目指し、区内にある日本語学校と連携しています。日本語学校に通う生徒らに毎年訓練に参加してもらい、発災時には「通訳部隊」として日本語の呼びかけを母国語で伝えてもらうなど、地域の力を活用して情報を伝えようと取り組んでいます。そしてさらなる周知のため、観光連盟や台東区は声かけだけでなく、ドローンやSNSを活用した呼びかけを検討しています。

浅草と並び、多くの外国人が訪れる渋谷区でも対策は進んでいます。

渋谷の街で活動を続ける団体の担当者は「防災知識を知ってもらうこと、そして言語の問題を乗り越えるという2つの壁を乗り越えなければいけないのは、渋谷区の大きな課題」と指摘します。

そこで、防災情報の周知を目指して渋谷区が今年導入したのが、日本の伝統文化の一つでもある「折り紙」の活用です。この「防災折り紙」に書かれている2次元コードを読み取ると、英語・中国語・韓国語で、日本で滞在中に知ってほしい防災知識や、机の下に隠れるなどといった地震の際の初期行動を知ることができます。担当者は「まずは海外から日本に来る際、地震が多い国だと知ってもらう。どんな備えが必要か知られていない現状がある。最低限の知識を知っておいてもらうことが安心につながるのでは」と話しています。

<渋谷の街では店舗での取り組みも>

知らない街を訪れた観光客に防災への関心を持ってもらうのはなかなか難しいということで、渋谷区では街中にある店舗にも協力してもらおうという取り組みも行っています。

渋谷にある飲食店などが防災のウェブ検定を受験すると「マモリシュラン」という2次元コード付きの認定シールがもらえます。このシールを店の目立つところに貼っておけば、万が一“電波がない状況”になっても、災害時の避難情報が見られるというものです。シールを計画した担当者は「店員が安全に避難行動を取るよう促すことができるのかという課題を解決するために始めたもの。今年中に100店舗への導入を目指す」としています。

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