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中野サンプラザ再開発が“白紙”に…&つけ麺で町おこし 中野区・酒井区長に聞く

地域・まち - 2025年4月3日 19時00分
東京・中野区は、JR中野駅前のランドマークとして親しまれてきた「中野サンプラザ」の再開発計画を“白紙”とする方針を示しています。一方で、サブカルチャーだけでなく、さまざまな街の魅力を発信しようと工夫を重ねています。TOKYO MX『堀潤 Live Junction』のスタジオで“中野の街の未来”について、中野区の酒井直人区長に直接話を聞きました。区長とのやりとりは動画でご覧ください。

中野サンプラザは1973年に誕生し、長年にわたって街のシンボルとして親しまれてきました。しかしその一方で、建物の老朽化が懸案事項となってきました。現在の酒井区長は、2018年の中野区長選挙で「サンプラザと区役所の跡地だけでなく中野駅周辺をどういう街にしていくか、区民参加で考えていくプロセスが必要」として、サンプラザ建て替え計画の見直しを訴えて初当選しました。その当選から3カ月後、建物を残して15年間存続させるためには改修工事費におよそ32億円がかかるとして、建物を取り壊した上で新たな施設を整備する方針を示しました。そして2023年7月、惜しまれながらサンプラザは閉館しました。

跡地には地上61階のメインタワーや最大7000人が収容できる大ホールのほか、商業施設やマンションなどが入る複合施設の建設が計画されていました。しかし見込んでいた工事費が人件費や建設費の高騰などで、2024年9月には当初の1810億円からほぼ2倍の3539億円にはね上がり、事業者の野村不動産が東京都に提出した事業計画を取り下げる事態となりました。その後、採算性を確保する修正案が出されたものの、3月11日には中野区は野村不動産との基本協定を白紙とする方針を示しました。会見の中で酒井区長は「100年先も中野区の顔となる特別な場所で進めていく提案としては必ずしも十分ではない」と述べました。

<“100年先の中野の顔”へ サンプラザ再開発はどうなる?>

中野区は野村不動産による計画を“白紙”とした理由について、建設費が当初の2倍近い額となったことから「事業成立性の見通しが立たない」ことや、事業者の野村不動産が見直し案を提示してきたものの、もともと複数社の提案の中から野村不動産の案を選んだ経緯があり、当初の提案の継承という点において「公平性・中立性に課題がある」ことなどを挙げています。また、酒井区長は3月の会見で「100年先も中野区の顔となる特別な場所で進めていく計画として必ずしも十分ではない」と説明しました。

この“計画白紙”について、中野の街の人はどのように思っているのでしょうか。中野駅前で聞いてみると「できれば大型の商業施設や複合施設にしてもらえれば、高齢者から若い人まで楽しめると思う。大きめのショッピングモールとかにしてもらえるといろいろな層に受けると思う」(20代男性・学生)という声や「どう残していくのか。お金を垂れ流し、ランドマーク的にずっと象徴として残しておいても意味ないと思うので、使えるものにしてほしい」(30代男性・IT関連)、「長い期間空いていてもったいない。早く結論を出して、方向性を決めてほしい」(70代女性・着物製作)、「近くに中野ブロードウェイがあり、外国人もいっぱい来ている。そういう文化がもっと広がるような街づくりがいいのでは」(40代男性・デザイン業)、「元々サンプラザは劇場。そういった文化的なものも含めたアミューズメント・商業施設を入れてもらいたい。住居よりも、せっかくこれだけ世界中から人々が来るから目玉の施設にしてほしい」(50代男性・コンサルタント業)など、さまざまな意見が聞かれました。

中野区は今後について、野村不動産との協定の解除に向けて協議を始め、事業者の再公募を視野に民間企業への聞き取りを行う方針です。一方で野村不動産は「現時点で決定していることはない。中野区と協議を進め、対応を検討する」とコメントしています。

<中野発祥「つけ麺」で町おこし! 「つけ麺学会」会長は酒井区長>

中野区はアニメや漫画など「サブカルチャーの聖地」としても親しまれてきました。さらに町おこしを進めようと力を入れているのが、中野発祥だという「つけ麺」です。

中野駅から歩いてすぐの所にある中野大勝軒の店頭には「つけ麺発祥の店」と書かれたのぼりが出ています。70年前の1955年、従業員が休憩中に食べる「まかない料理」から考案した「つけそば」を初めてメニューとして提供したのがきっかけです。中野大勝軒の坂口光男さんは「麺をゆでる時、釜の中に麺が少し残る。それを水で冷やしてまかないにして食べていた。常連客が『これはおいしい。メニューにした方がいい』ということで始まった」といいます。それからは店の人気メニューとなり、徐々に「つけ麺」を提供する店が増えていったといいます。常連客の中には「もう50年ぐらい前から来ている。昔は絶対大盛りを食べていたが、年で食べられなくなった」と話す人や「おいしいです。麺がつるっとしていて食べやすい」と話す人もいました。

中野区では中野大勝軒を中心につけ麺を提供する店が80店舗以上あり、2023年にはつけ麺の魅力を発信する団体「日本つけ麺学会」が発足し、会長は酒井区長が務めています。お店の坂口さんは「皆さんが一緒になって盛り上げている。つけ麺を中野の名産品にしようという気持ちでやっている」と話し「区長!つけ麺の発祥の地として、名産品で盛り上げていってください。よろしくお願いします」と呼びかけていました。

<地域活性化への取り組み“中野の町おこし” 愛される街づくりとは?>

中野駅前大盆踊り大会は2018年、世界的ロックバンドのボン・ジョヴィのヒットソングに合わせて盆踊りを踊った様子がSNSなどで話題となり、その後、通称「盆ジョヴィ」と名付けられ、中野の名物として親しまれています。2024年にはボン・ジョヴィ本人たちからSNSで「今年の夏も楽しんでね」とメッセージが寄せられました。

また、中野区が街の魅力を発信するために作ったフィギュア「中野大好きナカノさん」は、日々、区ならではのスポットを巡ってSNSで発信しています。ナカノさんは区に申請して許可を得れば、さまざまな商品やサービスにも無料で使うことができます。

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