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伝法院通り“不法占拠訴訟”退去で「和解」 浅草寺周辺で営業の32店舗、数十年の歴史に幕

地域・まち - 2025年12月23日 21時00分
個性豊かな物品を扱う店が多く立ち並ぶ東京・浅草の伝法院通りを巡る、台東区側と商店会側の争いが一つの決着を迎えようとしています。

台東区の浅草寺近くで仲見世通りと交差し、和服や骨董(こっとう)品など日本の伝統を感じさせる商品を取り扱う32店舗が並ぶ「浅草伝法院通り商栄会」はおよそ50年にわたって区道に店舗を構え、営業を続けています。しかし台東区は32店舗の所有者に対し、2014年から「区の道路を不法に占有している」などとして、立ち退きを求める話し合いを続けてきました。

浅草伝法院通り商栄会の西林宏章会長は「当時の内山区長がここを代替地に充ててくれた。建物を見てもらえれば分かるが、1日や2日でできるような建物ではない。もし違法だったらまずこんなものは建たない。われわれは違法だとは全く思っていない」といいます。商店会の西林会長によりますと「1970年代後半に浅草寺の区画整理で敷地内から移転してきた際、当時の内山区長から無償で土地を提供する申し出を受けた」ということです。ただ、その際の正式な書類などは商店会側にも区側にも残っていなかったため、これまで両者は解決策を模索してきました。

区は2022年、不法占有状態の解消を求めて東京地裁に提訴し、2024年4月に裁判所から和解による解決を提案され、2025年11月、区と商店会の双方で和解内容について合意する方向で一致しました。これを受けて12月19日の区議会で審議され、和解案は可決されました。和解案には32全ての店舗が2026年7月末までに建物を取り壊した上で土地を明け渡すことと、これまでの占有料として全ての店舗で合わせて800万円を支払うことなどが盛り込まれています。

土地の明け渡しについて店主たちからは、新たな移転先を探すのではなく「店を畳む覚悟」が聞かれました。和服店の店主は「残念ですよね。長年やってきましたから。話し合いで決まったことですから」と話しつつ「(今後については)私はもう卒業です。まあ、なんとも言えませんね」と語りました。また洋服店の店主は「この通りで(商売をして)60年ぐらいになるかな。(60年の商売人生が終わりを迎えようとしているが)うーん、なんとも。しょうがない。これから仕事を探すなんて言ってもなかなかない。困っています」と話しました。

区側との協議を進めてきた商店会の西林会長は「中堅でまだ(商売を)やりたいという人もいるし若い子もいるから本当に失業ですよね。そこが、補償も何もない。32店舗の皆さん、本当に違法と思ってやってきているわけではないので悔しい思いはみんなあると思うが、法的に決められたことなので、前を向いていくしかない」「あとは(来年)7月31日まで一生懸命やろうということ」と語りました。

台東区によりますと東京地裁から12月内をめどに「和解成立」の連絡が届き、それをもって正式な和解になるということで、改めて声明を発表するとしています。

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