首都直下地震想定12年ぶり見直し 最大1万8千人死亡に 前回から減少も…新たな課題浮上
地域・まち - 2025年12月19日 19時30分
首都直下地震が発生した場合、1都4県で最大1万8000人が死亡するという新たな被害想定が示されました。想定の見直しは12年ぶりです。
12月19日午前、地震対策に関する政府の作業部会が開かれた後、委員を務める有識者らが被害想定を見直した報告書を赤間防災相に提出しました。受け取った赤間防災相は「緊急対策の推進計画に反映させなければならない。また、これをどう広報、国民に伝えていくか大きな課題だと認識している」と述べました。
前回の2013年の想定では死者は2万3000人でしたが、建物の耐震化や木造住宅密集地域の防火対策などが進んでいるとして5000人減り、今回の想定では1万8000人とされました。このうち東京がおよそ8000人で、全体の4割を超えています。
さらに1都4県の帰宅困難者は平日正午に発生した場合840万人に上り、観光や出張で訪れた65万人から88万人が滞留する恐れがあるということです。
報告書では被害想定だけでなく、新たな災害対策の必要性も指摘されました。東京では高層マンションの増加といった、この10年間の状況の変化が新たな課題を生み出しています。
報告書では高層マンションの急増のほか、東京圏への人口集中や訪日外国人の増加など取り巻く状況が変化しているとして、被災者への対応の多様化やマンション防災といった新たな課題が顕在化したと分析しています。
新たな課題が生まれる中、作業部会の増田寛也氏は、個人の対策としては家具の固定や感震ブレーカーの整備を勧め、企業においては災害に備えた事業を継続する計画を立てるなど、準備を「自分ごと化」することが必要だと訴えています。増田氏は「防災意識の醸成、首都直下地震を『自分ごと化』して捉える。この『自分ごと化』が大きなキーワード。『自分ごと化』して捉え、社会全体で態勢を構築することが重要」と述べました。
政府は今回の報告書を踏まえ、首都直下地震に関する対策を改定する方針です。